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vol.23 楠本 文恵さま

マクセルスマートコミュニケーションズ株式会社 取締役

会社創業で経験した、流れ作りの大変さと協力の大切さ

これまでにない新たなサービスを展開されている楠本さまに、新事業の立ち上げや創業のご苦労、仕事をするうえで大切にされていることなどをうかがいました。

「People」VOL.23は、マクセルスマートコミュニケーションズ株式会社の取締役である楠本文恵さまをご紹介します。これまでにない新たなサービスを展開されている楠本さまに、新事業の立ち上げや創業のご苦労、仕事をするうえで大切にされていることなどをうかがいしました。

                                              [取材者:菅井 沙紀]

感覚ではなく、計測によるまったく新しい肌チェックサービス
創業で経験した、流れ作りの大変さと協力の大切さ

現在展開されている「肌チェックサービス“ハダモア”」とは。

肌をケーソクから美をケーゾクへ
スマートフォンに装着して肌を撮影する肌レンズ「ミモレ」とアプリ「ハダモア」を連携させて肌の状態を見える化し、肌ケアの成果を自分でチェックできるものです。「感覚」ではなく「計測」で肌のコンディションを把握できる、これまでにないスキンケアサービスです。
「ミモレ」のレンズは、親会社である日立マクセル株式会社のレンズ技術、ナノレベルの金型技術、光学設計技術、成形技術、薄膜技術を融合させて肌レンズ専用に開発したもので、隅々まで美しくフラットな画像が撮影できます。また、フェイシャルシェーバーやホットビューラーなど美容器機の製品づくりのノウハウも活かされています。

マクセルスマートコミュニケーションズには創業から携わられたそうですね。

まったく新しい事業なので、新たな会社として立ち上げることになりました。創業は、一から十まで自分たちで作っていくことなので、思った以上に大変でした。今までのしきたりや社風、考え方などは良い時はノウハウとして作用しますが、新しいことをするにはブレーキにもなりかねません。そのバランス感を持つことが難しい点でした。
ほかにも、法務局や弁護士事務所に出向く、税理士に会う、監査を受けるなど、経験したことのないことが立て続けにあって、物の流れ、お金の流れ、人の流れを作ることがいかに大変かを思い知らされました。また、チームやフォローしてくれるスタッフの大切さも再認識しました。協力し合い、困難が立ちはだかっても前を向いていれば、一歩ずつ前進していけるんだと。

自分に足りない部分を知ることで、成長できる  
管理職に求められるのは、柔軟性とスタッフへの配慮

新事業のために、自らコスメコンシェルジュの資格を取得されています。

「ハダモア」をスタートさせるにあたって、サービスの充実のために化粧品メーカーの方や皮膚科の先生などにお話をうかがい、知識不足を痛感しました。対外的な説得力につながり、またサービスにも活かせるものをと考えて、コスメコンシェルジュの資格を取得したんです。
自分の足りない部分を知ることは大切だと思います。新卒で入社した電機メーカーでは、女性でも物流や商品企画、販促といろいろな仕事をさせてもらえたのですが、その実は敷かれたレールの上を走っているだけ。何かが違うというジレンマから自分なりに勉強を始めてみて、ビジネスの根底を何もわかってないことに気付きました。
そこで思い切って創業間もない外資系企業に転職し、ビジネススクールにも通いました。まだ規模が小さかったこともあって、勉強したことをすぐにビジネスの場で活かすことができ、企画や販売などいろいろな部門の仕事を経験できました。
現職では取締役をさせていただいていますが、新しい職務にも携わっており、人事や経理、品質保証の責任者も兼務しています。勉強しなければならないことばかりです。 

お仕事をされるうえで大切にされている点を教えてください

大手メーカーで「仕事って何だろう?」と悩んでいた時期に、ある先輩に「道に迷ったら、損得より善悪だぞ」とアドバイスをいただきました。それが社会人としての私の基本スタンスとなっています。
また、一人の人間としてきちんとした仕事を、「個」として立てる仕事をしたいということを意識してきました。ラベル、ヘッドフォン、理美容家電などさまざまな製品を手がけてきましたが、扱うものが何であろうとお客さんに喜んでいただきたい、ニーズにフィットした商品をつくりたい。そういう部分に自分のやるべきことを見出してきました。また、物事を柔軟に考えることも大切ですね。NOという答えは出さないように、どうしたらできるかを優先して考えるようにしています。

最後に、管理職と女性らしさのバランスをどのように保たれているのか、秘訣を教えてください。

男女に関係なく、管理職として望まれるのは仕事ができることではなく、いざという時に助けてくれること。その一方で、こちらが人を頼ることも重要だと思うようになりました。自分でやった方が早くても、若いスタッフに仕事をまかせて、困った時に手を伸ばせる位置で見守るようにしています。
どちらかというと「アニキ」のような存在で、女性でありながら、あまり女性のことがわかっていないのでは?と反省することもあります。女性をターゲットとしたサービスを手がけていることですし、女子力を失わないように、また(仕事以外の面での)女性スタッフへの気遣いを忘れないよう心がけています。

マクセルスマートコミュニケーションズ株式会社 http://www.maxell-sc.co.jp/