多様性時代に求められるコミュニケーションはEquity(公平性)
TC協会でのISOプレインランゲージの講演
一般社団法人日本プレインランゲージ協会 代表理事(株式会社エイアンドピープル代表取締役)浅井満知子は、8月25日(金)に一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会(TC協会)シンポジウムで、オンラインにてプレインランゲージの講演を行いました。
演題は「ISOプレインジャパニーズを理解する:受け手に届く、分かる、響く、伝達術」と題し、講演には100名を超える方に参加いただきました。
多様性の時代に包括的で公平な情報発信が求められています。情報の受け手に誤解のないよう明確に、迅速に理解してもらい、適切な判断が下され、行動へ促してもらうことで、発信者と受領者双方にメリットをもたらします。プレインランゲージはそれを実現するツールです。これまで日本では「阿吽の呼吸」「以心伝心」で通じ合えていましたが、多様なメンバー内では使えません。これまでの自分の考えや主張を持たない姿勢を改める必要があります。自分の考えや意思をもち、勇気をもって明確に伝えることが、多様性時代に求められるコミュニケーションであり、信頼構築の第一歩です。AIによる自動翻訳を使い、自国の母国語で誰もが必要な情報を知り、また発信できる公平(Equity)なコミュニケーションが完成形に近づきつつあり、翻訳後の精度を高めることと思考のプロセスをそろえることで理解を促進されます。
国際標準化機構(ISO)は2023年6月にプレインランゲージ規格を発行しました。加盟50か国、日本語を含む27言語を、一つの理念のもと同じガイドラインに則りコミュニケーションすることで円滑な意思疎通をすることを推進しています。
講演では、プレインランゲージの国内外の最新情報に加えて、プレインランゲージの理念と定義、歴史などをご紹介しました。
浅井に続き、東京大学大学院教育学研究科 講師の宮田玲先生により、「プレインランゲージ/プレインジャパニーズ」と「やさしい日本語」、「テクニカルライティング/テクニカルコミュニケーション」、「制限言語」との比較と、その枠組みの共通点・相違点が紹介されました。最後に宮田先生と浅井によるパネルディスカッションが行われ、AIによる自動翻訳において、プレインジャパニーズが及ぼす翻訳結果との関係について、学術的な動向をふまえ意見が交わされました。
■プレインランゲージとは
ISOプレインランゲージの国際規格の発行により、プレインランゲージへの注目と果たすその役割は、世界的に広がっています。プレインランゲージは、情報の受け手が必要な情報を容易に見つけ、理解し、使用できることを実現します。
プレインランゲージは情報発信に効果的なツールであり、ISO50か国27言語が足並みをそろえ、各国のプレインランゲージを使用することで、情報の受け手と発信する組織の時間とコストを削減するという効果的な結果をもたらすことが多くの研究機関より発表されています。
プレインランゲージは情報の受け手にも好まれ、組織とステークホルダーとの信頼構築のためにも重要なツールです。
【講演概要】
講演名:【パネルディスカッション】「プレインジャパニーズ」を理解する
日時:2023年8月25日(金)13:30-15:45
場所:オンライン
主催:一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会
パネリスト:宮田 玲 氏(東京大学大学院教育学研究科 図書館情報学研究室 講師) 浅井 満知子(一般社団法人日本プレインランゲージ協会(JAPL) 代表理事)