ビジネス界で活躍されている素敵なPeopleをご紹介しています。
A&Peopleは、そうした素敵な方々と業務を通じて、助力となるべく連携させていただけることを誇りに思っています。

vol.41 ドン西尾さま

CPA

私の母国語は英語で、40年間ビジネス英語のライティングに関わってきました。その間、自分のメッセージをできるだけ効率的に伝えるためには、明確かつ簡潔に書くことが重要だと学んできました。

明確かつ簡潔なライティングで評判が高いドンさま。クライアントや税務当局とのコミュニケーションで培ったビジネスライティングの秘訣を紹介してくださいます。

「People」第41回目は、会計士のドン西尾さまです。

明確かつ簡潔なライティングで評判が高いドンさま。クライアントや税務当局とのコミュニケーションで培ったビジネスライティングの秘訣を紹介してくださいます。

                                                 [引用:JPELC

税務当局やクライアントが容易に理解できるライティングが得意

私は会計士ですので、さまざまな会計・税務上の問題について、顧客やカナダ税務当局(CRA)に手紙を書くことがあります。その際、クライアントに内容を理解してもらうことが重要です。そして、さらに重要なことは、私がクライアントに代わってCRAに伝えているメッセージをCRAにすぐ理解してもらうことです。

私の文章は非常にわかりやすいという評判で、自分の考えや懸念、コメントをクライアントやCRAにうまく伝えることができていると感じています。

ビジネス英語の目的はタスクの達成。人を楽しませることではありません

私は作家ではありませんし、趣味や個人的な満足のために書いているわけではありません。私のライティングは仕事で必要なタスクを達成するためのものです。ビジネス英語は、英文学や散文とは大きく異なります。ビジネス英語は、人を楽しませるためのものではなく、雄弁でもなく、「花のような」ものでもありません。

経験の浅いライターや自信のないライターは、読者に感銘を与えようと、長くて複雑な文章を使うことがあります。自分が英文学を学び、「良い」ライターであることをアピールしたいと考えてしまうのでしょう。しかし、このような複雑な文章を書くことは、そのライターがビジネス英語を理解していないことを表しています。

短く、明確であることは第一条件。ビジネスライティングにはさまざまな秘訣があります。皆様のお役に立つ私のビジネスライティング哲学を紹介します

誤解や混乱を最小限に抑え、時間を無駄にしないために、私は次のような哲学を持っています。

  1. 文章は短く、明確でなければなりません。
  2. 重要なアイデアを伝えるために、できるだけ少ない言葉を使います。記事やメモ、手紙などが長すぎると、読者は興味を失い、集中できなくなります。
  3. シンプルな「主語・動詞・目的語」のフォーマットを使用します。
  4. 無終止文(カンマやセミコロン、ダーシなどだけで複数の項目をつなぎ合わせた文)は避けましょう。考えやアイデア別に文を分けた方が理解しやすいです。
  5. 可能な限り、箇条書きを使用してください。文章形式よりも箇条書きを使った時の方が、重要事項を目で捉えやすくなります。
  6. 同じアイデアを述べるのは一度だけとして、繰り返してはいけません。すべての文が重要です。同じアイデアを繰り返すと、他のすべての文の重要性が失われてしまいます。
  7. 重要でない文は入れないでください。
  8. 「he」、「she」、「they」などの人称代名詞ではなく、人名や会社名を使うことで、当事者を明確にします。
    悪い例:He asked Hiro to give his book to Taro as soon as he finished reading it.(彼はヒロに、自分の本を読み終わったらすぐにタロウに渡すように頼んだ。)
    良い例:John asked Hiro to give John’s book to Taro as soon as Hiro finished reading it.(ジョンはヒロに、ヒロが読み終わったらすぐにジョンの本をタロウに渡すように頼んだ。)
  9. 原稿を2〜3回読み直し、その都度、表現の改善を行います。
  10. デリケートな話題や物議を醸すような話題の場合は、1日待ち、もう一度読み直してから送信してください。
  11. ワープロソフトの「スペルチェック」や「グラマーチェック」を必ず使用します。
  12. 可能な限り、原稿を送る前に他の人に読んでもらいます。

優れたビジネスライティングと悪いビジネスライティングは、実際に比較するとその違いが明らかになります

以下の文章を、悪いライティングと良いライティングの違いを明確にする2つの例として活用してみてください。

Bad

It could be argued that this dining expense is not for business purposes, but the client is of the opinion that, while CRA may have an argument that the dinner was mainly for pleasure as it was at a golf club, he feels that important business matters were also discussed during the dinner, during which they discussed planning for a future business venture for wharf construction which may lead to work for the Company if they are successful in the future in obtaining contracts from the dinner guest and also the company has a lot of experience in this area. Since there is future potential business, the owner of the company feels that he should be able to get a tax deduction for the expense under investigation by CRA, and CRA should be more understanding of the work that owners of small companies have to do to get new business. It is not the Company’s fault that, unfortunately, the wharf project did not proceed because it was felt that it was economically unviable, and therefore, in the end, there was no opportunity for the Company to bid on the construction contract, even though they wanted to.

Good

The dinner expense was an allowable business expense for the following reasons:

  • The parties discussed a possible future project for wharf construction in Vancouver harbor.
  • The company asked for the opportunity to bid on that project.
  • Because of their experience, the Company felt that they had a good chance to win this project, if it proceeds.
  • The reason that the Company did not get a contract is because the project did not proceed. This was not known at the time of the dinner meeting.

※英語の文章では、両端揃えにすると見栄え良く見えますが、単語と単語の間隔が異なるために読みにくくなります。読みやすさを重視するのであれば、左揃えを心がけましょう。