企業がビットコインを所有する時代は近い!?

投資家の反感を受けても伸び続けるビットコイン

2018年ごろ、米国の著名な投資家の多くが、ビットコインの存在に強く反発していました。伝説的な投資家ウォーレン・バフェット氏はビットコインを「殺鼠剤の2乗のようなもの」と表現し、JPモルガンのCEOジェイミー・ダイモン氏は、ビットコインは詐欺であり、取引した従業員は愚かであり解雇に値するとしていました。

それから3年が過ぎ、ビットコインを取り巻く環境は変わってきています。

ビットコインへの投資が活用される時代が始まっている?

現在、JPモルガンは、ビットコイン関連の事業を行う企業に対して銀行サービスを提供しています。ハーバード大学やプリンストン大学などは、大学の基金の一部としてビットコインを運用しています。また、資産価値を保有するために金が活用されていますが、ビットコインの方が有効だと考える人もでてきています。

会計処理とボラティリティが課題

ビットコインを所有する企業のニュースも耳にするようになりましたが、米国企業の多くはビットコインを保有していません。その大きな理由に、会計処理上の規制と、財務の安定性への影響があります。

多くの国で、ビットコインは無形資産として扱われます。そのため、購入価格が貸借対照表に計上された後、資産の評価額の減少のみが記録されます(のれんの減損の場合と同様)。売却するまで、評価額の上昇を反映できないため、マイナスの影響の方が大きくなるのです。

また、企業の財務部門は、貸借対照表の安全性と流動性を保証する役割を担っています。それに対し、ビットコインは価格が大きく上下する特徴があるため、安定性や流動性を確保できません。

ビットコインのボラティリティが少なくなり、会計基準が変更されるまでは、ほとんどの企業にとって、ビットコインを保有することは現実的ではないでしょう。

AIを活用して投資をする時代へ

口頭での表現をデータ化し、投資判断に活用

業績発表でのトークが分析され、そのコンテンツやニュアンスが情報として蓄積・分析され、投資判断に使用される時代が来ています。

これまで、口頭での業績発表は、その場が過ぎると忘れられるか、参加したアナリストの記憶に短時間残るだけでした。アニュアルレポートやプレスリリースなど、文書コンテンツの方が後々まで投資決定の参照として使用されてきました。

しかし、書き言葉だけでは、情報のニュアンスを理解しきれないと投資家は感じています。さらに、情報量が増え続けていることからも、テクノロジーを活用した情報分析ソリューションに注目が集まってきています。

自然言語処理でニュアンスをデータ化

現在、口頭での業績発表のデータがAIによって記録・分析され、短・中・長期の投資決定に使用されるようになっています。投資家が時間をかけて業績発表の録音を聞く必要はなく、自然言語処理(NLP)と呼ばれる技術が活用されています。

人間の耳では、目の前で話されている情報を聞き逃したり、市場状況などの外部要因に影響を受けて解釈を間違えることが多くあります。NLPでは、情報とそのニュアンスを蓄え、分析することができます。また、「何が」話されたのかだけではなく、「どのように」話されたのかも重視されます。

プレイン・イングリッシュがもつ可能性

これは日本の企業にとっても無関係ではありません。日本語から英語に翻訳をする際に、曖昧な表現をそのまま直訳したり、機械翻訳を使ったりすると、曖昧で冗長な英語表現になることが多くあります。英語では曖昧な表現が嫌われる傾向にあり、曖昧な表現を多用するとNLPによって説得力や透明性に欠けると分析され、ネガティブな情報だと判断される可能性があります。

プレイン・イングリッシュを活用することで、投資家にとって読みやすい文書となるのみならず、NLPなどのAIを使った分析でも文化の違いを超え、グローバルな基準での開示を実現することができます。

ポストコロナのESG
ダイバーシティ&インクルージョンの時代へ

ESGが企業としての成功に大切であるという考え方は広く浸透しています。現在、S&P 500社の90%がアニュアルレポートなどでESGを重点的に報告しています。

ESGのなかでも今欧米で特に注目され、今後さらにその重要度を増してくると考えられているのがS(社会)に含まれる、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)やDEI(ダイバーシティ、イコーリティー、インクルージョン)です。

新しいコンセプトを理解するための問い

ダイバーシティ、イコーリティー、インクルージョンは、簡単に説明できるコンセプトではありません。正確に伝えることができる日本語が存在しないため、翻訳する際にはカタカナで翻訳し注釈をつける方法が使われています。

この新しいコンセプトを理解するためには、次のような問いを立ててみることをお勧めします。

ダイバーシティを知るためには、「この部屋には誰がいますか?」という問いを立てます。様々なアイデンティティをもった異なる属性を代表する人が共存していることを大切にします。

イコーリティーを知るためには、「この部屋に入りたくても入れない人は誰ですか?」という問いを立てます。公正な扱い、機会の平等、リソースへの平等なアクセスなどを大切にします。

インクルージョンを知るためには、「全員の意見に耳を傾けましたか?」という問いを立てます。参加や貢献をしたすべての人に対して能動的に耳を傾けることを大切にします。

仕事に対する新しい考え方が根底に

D&IやDEIの根底に流れる考え方は、ひとりの人間としてアイデンティティを仕事に持ち込むことができるというものです。長い間、仕事ではプライベートのことは口にしなかったり、プロとしての自分以外は秘密にするスタイルが一般的でした。しかし、新しい考え方が台頭してきています。それは、全員が自分が受け入れられていると感じることができる環境で、人間として成長しながら関係を築くことが個人そして企業の成功には必要不可欠であるという考え方です。

この考え方はパンデミックを通じてその存在感を増してきています。

2010年代のテーマが気候変動であったように、2020年代のテーマはD&IやDEIになるであろうと考えられています。