ポストエディットをご存知ですか

近年、ChatGPTなどが普及しAI翻訳の利用が活発になっています。そこで今回は、機械翻訳の1つである「ポストエディット」についてご紹介します。

ポストエディットとは

機械翻訳した内容を翻訳者もしくは校閲者が修正することです。一度、機械翻訳が行われた内容について、誤訳や訳漏れ、ニュアンスの違いがないかを確認し修正をします。人手による通常翻訳よりも時間やコストが削減され、効率が良い翻訳方法の1つです。

ポストエディットの活用について

このような便利なポストエディットでも、すべてのドキュメントに活用できるわけではありません。あくまでも機械が翻訳するため、人間の思いや意図をくみ取ることは難しいと言われています。そのため、マニュアルなどのシンプルな文書では利用できますが、メッセージ性の強い文書は、ポストエディットではなくネイティブ翻訳を強くお勧めします。

今後、さらに利便性の高いツールが登場することでしょう。ポストエディットのような便利な方法を活用しつつ、リスクも念頭にAIとうまく付き合っていきましょう。

ESG投資で存在感を増すAIツール

客観的で継続的なデータ収集が実現

あらゆる投資家が、環境・社会・企業統治(ESG)への取り組みを投資判断に欠かせない情報として認識する時代になりました。また、2023年度はAIが大きく注目されました。こうした状況の下、サステナビリティ評価など、ESG関係のAIツールが注目を集めています。

AIツールがサステナビリティ評価にもたらす革新

従来のサステナビリティ評価や投資ポートフォリオ作成は、専門家による手作業を中心に行われていました。しかし、この方法は時間とコストがかかっていました。また客観性という点でも課題がありました。

近年では、AIツールを活用することで、膨大なデータを高速かつ効率的に分析し、より客観的で正確なサステナビリティ評価や投資ポートフォリオの作成が実現しています。また、リアルタイムデータの収集や分析も可能になるため、企業の取り組みを継続的に評価することができます。

あらゆる場面でAIツールが活躍

ESG投資では次のような場面でAIツールが活躍しています。

投資ポートフォリオの作成:膨大なデータを収集・分析して、ESGの基準に沿ったポートフォリオを構築。

データ管理:企業のパフォーマンス評価をする際に活躍。温室効果ガス排出量の計算や多様性目標のモニタリングなど、透明性と信頼性を高め、持続可能な成長を実現することができます。

サステナビリティ評価:ESG評価を推定し、サプライチェーンの評価や投資判断の指針とするなど、さまざまな用途で活用されています。

センチメント分析:AIとオンラインニュースソースを組み合わせたセンチメント分析ツールは、リアルタイムで分析結果を提供することで、グローバル規模での情報の流れと組織の意思決定を強化します。

AIを活用した代表的なサービス

いったいどのようなサービスでAIが活躍しているのでしょうか。代表的なサービスを簡単に紹介します。

Owl Analytics:AIと機械学習(ML)と専門家による品質管理を組み合わせ、ESGデータを投資戦略に統合します。

IBM Environmental Intelligence Suite:IBMが提供するAIを活用したSaaSソリューションです。気象データと気候変動の地理空間データを組み合わせて、持続可能な金融と投資に関する分析を行います。

Clarity AI:200カ国の3万社以上の企業のESGデータを分析し、企業のESG評価を推定します。

Symanto:数千件のソーシャルメディア投稿やその他の非構造化データソースを分析し、ESG関連問題に対するユーザーの反応を測定します。

AIツールは、ESGの未来を大きく変える可能性を秘めています。AIツールの台頭によって、より客観的で効率的なサステナビリティ評価が実現すると考えられています。

IRの世界でも注目のAI

精度と効率を高めたコミュニケーションが実現する可能性

AI(人工知能)を使ったツールが注目されています。金融業界の大手は既に大規模にAIツールを導入しており、IRの世界でも広く活用されることが期待されています。

AIツールを使うことで、投資家とのコミュニケーションの質を高め、より多くの情報に基づいた意思決定を行い、より効果的なリスク管理ができると考えられています。今回は、AIツールを活用すると、どのようなメリットがあるのかをご紹介します。

自動でのデータ分析と解釈が実現

財務データ、ニュース記事、ソーシャルメディアへの投稿など、企業の株価に影響を与える情報を含む大量のデータの分析と解釈を自動化することができます。市場センチメントや競合他社の動向など、企業の業績に影響を与える要因に関する貴重な洞察を今まで以上の精度と効率で得ることができます。

リアルタイムで投資家センチメントを知る

リアルタイムで市場イベントをモニタリングし対応するのにも役立ちます。ソーシャルメディアの投稿、ニュース記事、その他一般に入手可能なデータをモニタリングし、潜在的投資家のセンチメントを判断できます。たった1つのツイートやニュース記事が即座に企業の株価に影響を与える可能性がある今の時代に特に重要です。

精度の高い投資家ターゲティング

適切なタイミングで適切な投資家を特定し、ターゲティングするために使用できます。また、投資家にとって最も重要なトピックを特定し、それに応じてIRコミュニケーションをパーソナライズすることも可能です。 

投資家との情報共有が簡単に

チャットボットなどのAIを活用したツールで、一般的な質問に回答し、基本的な情報を迅速かつ効率的に提供することができます。機械的でない、パーソナライズされた方法で使用します。また、AIの使用を表明することは、信頼関係を築く上で重要です。

リスク管理の改善

潜在的なリスクを特定し、それを軽減する戦略を策定することで、企業がより効果的にリスクを管理するのにも役立ちます。

課題は信頼とプライバシー

AIツールによって生成された情報が正確で信頼できるものであることを保証することは大きな課題です。また、AIによって提供された情報の責任をだれが持つのかも課題になっていくと考えられます。

また、AIツールの使用による知的財産権の違反やデータやプライバシーに関する課題の可能性も考慮し、注意していく必要があります。

変わる時代に重要な明確なコミュニケーション

大きな可能性を秘めたAIが世界を変える日も遠くないかもしれません。それでも、IRの基本であるシンプルで明確な言葉を使ったコミュニケーションが重要であることは変わることはありません。