東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始
~翻訳スピードアップのポイント~

前回「質の高い英文開示実現のための翻訳会社選定のコツ」の1つのポイントとして「効率的な進行管理」についてご紹介しました。今回は、より効率的に翻訳を行うための「翻訳スピードアップのポイント」についてご説明します。

4月からの英文同時開示義務化の開始に向けて、より効率的に翻訳を行うことが求められています。そこで、翻訳会社へ依頼する部分と社内で対応する部分の分け方や、どういった資料が効率よく翻訳可能か、という点についてご紹介します。

数字はブランクのまま依頼する

決算資料に記載される数字については、数値の確定までに時間がかかり、翻訳依頼のタイミングでは間に合わない、または翻訳依頼後の差し替えが発生するといったケースがあります。また、文章の英訳とは違い、数字単体で記載している箇所については、社内で英訳ファイルへの反映が行いやすいため、数字はブランクの状態で依頼いただくことをお勧めしています。具体的には、決算短信のサマリーや、説明会資料の表などです。もちろん、文章中に記載してある数字については、前後の脈略から翻訳が必要なため、責任をもって翻訳会社が対応するべきですが、数字のみの記載箇所は社内で対応するということも検討してみてはいかがでしょうか。

資料を章ごとに分割する

章ごとに和文の内容が固まるタイミングが異なることが多いため、日本語が完成した箇所から翻訳を開始することも、翻訳を効率よく進めるポイントです。しかし、依頼回数を増やしすぎて、ファイルの差し替えが何度も発生すると、用語統一の面などで懸念点も増えるため、基本的には2回に分けてのご依頼をお勧めしています。まずは、翻訳したい決算資料の中で、和文が比較的早く完成する箇所と、そうでない箇所を仕分けし、その内容と分量を翻訳会社と共有し、事前スケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。

シンプルなフォーマットを活用する

決算説明会資料(PPT)では、別のExcelで作った表やグラフを画像としてPPTに埋め込みをしている資料が多くみられます。この場合、翻訳は元データのExcelで行い、その後、英訳をPPTに反映する作業が必要になり、全体作業時間が多くかかってしまいます。そこで、納期の短縮や作業の集約という点からも、PPT上で修正可能な表やグラフの使用を推奨いたします。また、一度フォーマットを作ってしまえば、毎期の資料作成にも役立てることができます。

いかがでしたでしょうか。
より効率よく翻訳を行い、英文開示のスピードアップを図るため、このような取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始
~効率的な進行管理のポイント~

前回「質の高い英文開示実現のための翻訳会社選定のコツ」として、以下の5つのポイントをご紹介しました。

  • 金融・IR分野の専門知識
  • IR翻訳の実績
  • 品質管理体制
  • 明確なコミュニケーション
  • 効率的な進行管理

今回はこれらの中から「効率的な進行管理」の部分に焦点をあて、同時開示に向けたスケジュール管理や翻訳の進め方について、ポイントをご紹介します。

翻訳会社への入稿タイミングはいつがベスト?

開示日直前に翻訳を開始して、スピードを重視するあまり、翻訳の品質については後回しになってしまっていませんか。
それではせっかく同時開示しても、海外の投資家に興味をもってもらえなかった、なんてことにもなりかねません。
スピードを重視しつつも、品質を保つためにはどの程度の日数が必要なのか、翻訳会社と分量や希望納期のすり合わせを行い、前もって計画することが大切です。
弊社では、遅くとも入稿予定時期の約1か月前までにスケジュール調整を行うことをお勧めしております。

品質重視?スピード重視?

企業によって重視するポイントはそれぞれです。

品質を重視する場合、ある程度の時間を翻訳に確保する必要が出てきますので、早い段階での翻訳開始が必要となります。数字をブランクにした状態での入稿や、章ごとなどで分割し、日本語が完成した部分から翻訳を開始する等の工夫を施すのがお勧めです。

スピードを重視する場合に気をつけたい点は事前のスケジュール設定と設定したスケジュールの順守です。予めスケジュールをきちんと決めておくことで可能な限りの効率化を図ります。そのほかには、社内で対応する部分と翻訳会社へ依頼する部分とを分けて、翻訳が必要な部分のボリュームを減らし、スピードアップを図るというのも方法の1つです。

決め手は和文作成のタイミング?

「日英同時開示」と聞くと翻訳の期間を短縮することばかりに目を向けてしまう方が多いのですが、和文作成のスケジュールについてはいかがでしょうか。
翻訳期間を短縮する工夫ももちろん必要ですが、スピードを重視しすぎると、翻訳した文章の品質面がおろそかになる可能性もあります。
和文制作と英文制作の部署が異なる場合など、難しい部分も多いかとは思いますが、ぜひこの機会に和文制作タイミングや翻訳開始タイミング、全体のスケジュールについて、社内で情報共有の機会を設けてみてはいかがでしょうか。

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東証プライム上場企業の英文開示義務化、
いよいよ2025年4月から開始

2025年4月から東京証券取引所のプライム市場上場企業に対する英文開示の義務化が始まります。
義務化に合わせ、今まで行っていなかった英文開示を始める企業も多く、現在弊社にもお問い合わせを数多くいただいております。

義務化に伴い、まずは開示する体制を整えることが重要ですが、単に義務を果たすだけでなく、この機会を活用して明確な目的を持って情報開示を行うことが重要です。

英文開示義務化をビジネスチャンスに

東証が英文開示義務化を決定した主な理由は、日本市場の国際競争力を高めるためです。
英文で開示することにより、

  • 海外投資家が日本企業を理解し、投資判断を行いやすくなる。
  • 日本語と英語の同時開示により、国内外の情報格差を減少させ、公平性を高める。
  • 透明性の高い開示は、優れたコーポレートガバナンスの証となり、信頼性向上につながる。

といったメリットが生まれ、日本企業は新たな海外投資家の獲得や、国際競争力を高めることができます。

質の高い英文開示実現のための翻訳会社選定のコツ

今回の英文開示義務化は、多くの企業にとって課題となる一方で、適切に対応することでビジネスチャンスにもなり得ます。質の高い英文開示を実現するためには、適切な翻訳会社の選択が重要です。以下に、翻訳会社を選ぶ際のコツをご紹介します。

金融・IR分野の専門知識
IR翻訳は単なる言語能力だけでなく、金融の専門知識が不可欠です。IRに関連した分野の専門知識を持つ翻訳者がいることを確認しましょう。

IR翻訳の実績
過去のIR翻訳の実績や経験値を確認することが重要です。特に、英文開示に関する豊富な経験を持つ会社を選びましょう。

品質管理体制
どのような体制で翻訳が行われているか必ず確認しましょう。特に、費用が安いと非ネイティブによる翻訳や、機械翻訳での対応の可能性があります。欧米ネイティブによる翻訳か、チェッカーによる校閲体制も含まれているか確認することが重要です。

明確なコミュニケーション
意外と見落としがちですが、重要なのが、窓口の担当者との円滑なコミュニケーションです。見積から納品まで、各プロセスでしっかりとしたコミュニケーションを図れる会社を選びましょう。要件を明確化し、進捗共有が円滑に行えることでストレスなくスムーズな英語化を進められます。

効率的な進行管理
事前に明確なスケジュール作成を行い、締め切りを厳守し、効率的なプロジェクト管理ができる会社を選ぶことで、スムーズな英文開示が可能になります。

高品質な英文IR資料は海外投資家からの評価向上につながり、企業価値の向上に寄与します。また、グローバル市場での競争力の強化にもつながるため、長期的な視点で翻訳パートナーを選ぶことが重要です。
まずはお気軽にご相談ください。

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