米国と日本の株主総会招集通知の違い

convocation noticeは古い英語?

株主総会招集通知の季節が近づいてきました。株主総会が行われる季節は違いますが、米国にも株主総会招集通知は存在します。

日本企業の招集通知はconvocation noticeとして翻訳されることが多くなっていますが、米国ではnotice of annual meeting of shareholders and proxy statement(株主総会のお知らせとプロキシーステートメント)、Notice of 20xx Annual Shareholders’ Meeting(20xx年株主総会のお知らせ)などという表現が使われます。

convocation noticeという言葉はかつては米国でも使用されていました。しかし、プレイン・イングリッシュを使ったわかりやすいコミュケーションツールへと招集通知が進化するにつれ、使われなくなりました。

ちなみに、proxy statement(プロキシーステートメント)は日本の招集通知の株主総会参考書類にあたる部分に似ていて、総会当日に投票される議題などが記載された公開が義務付けられた書類です。

米国の招集通知を参考に英語版を改善する

米国の株主総会招集通知は、読みやすい文書となるように進化を続けています。日本の招集通知と比較して特に目立つ特徴として、次のような点があります。

・写真、余白、図、箇条書き、色を活用した魅力的で読みやすいビジュアル
・ハイパーリンクを使用し、文書内の関連セクションへの移動が簡単
・株主への挨拶は、フォーマルなスタイルではなくて、個人的な語り口を使って株主に語り掛ける

日本の招集通知の英語版を作成する際には、次のような点に注意すると、よりグローバルに伝わる読みやすい文書を作ることができます。

・かたい言葉遣いに気を付ける
・情報の詰め込みすぎに気を付ける
・読みやすいデザインを心がける
・新しい情報や投資家の興味を引く知見を掲載する

実は、招集通知の英語版作成のポイントはアニュアルレポート英語版作成のポイントと非常に似ています。どちらも投資家にとって読みやすく役立つ情報が含まれている文書とすることが重要です。もちろん、プレイン・イングリッシュを使うことも忘れないようにしましょう。

参考) 米国大手企業の招集通知の例 ウォルマート https://s2.q4cdn.com/056532643/files/doc_financials/2019/annual/348234(1)_20_Walmart_NPS_WR.pdf

スターバックス https://s22.q4cdn.com/869488222/files/doc_financials/2020/ar/SBUX-2021-Proxy-Statement.pdf

伝わる社長メッセージとは

来期に向けて統合報告書やアニュアルレポートのご準備を進められている方も多いのではないでしょうか。今回はこうした報告書の社長メッセージページの見せ方のコツについてご紹介いたします。

■冒頭のご挨拶は短めにしましょう。
社長メッセージの冒頭で、日頃の感謝の気持ちやご支援をお願いするご挨拶文が、長々と綴られていませんか。日本語では丁寧な表現であっても、英語の場合は回りくどいなど、別の印象を与えてしまう可能性があります。株主が一番注目している冒頭だからこそ、ご挨拶は手短にして、重要な企業メッセージを伝えるために使うことをお勧めいたします。

■お写真によって、メッセージの伝わり方が変ります。
海外企業の社長メッセージページでは、笑顔で、自信に溢れたお写真が多く活用されています。株主に対して、自信やエネルギッシュな姿勢、またフレンドリーな企業イメージをアピールしています。ぜひ社長メッセージページで伝えたい内容に沿ったお写真を採用してみてください。

■メッセージは平易な英語で伝えましょう。
米国証券取引員会(SEC)が推奨している『プレイン イングリッシュ ハンドブック』の序文で、ウォーレン・バフェットは、バークシャー・ハザウェイのアニュアルレポートを執筆するときは、自分の姉妹に話しているつもりで平易な英語で書いていると述べています。
社長メッセージでは、伝えたい情報を整理した上で、読みやすい、プレイン・イングリッシュを意識してみてください。きっと、個々に響く企業メッセージを伝えることができるでしょう。

いかがでしたでしょうか。
ちょっとした工夫で社長メッセージページの印象は大きく異なり、また企業イメージをよりダイレクトに伝えていくことができます。

弊社では統合報告書やアニュアルレポート、サスティナビリティレポート等の翻訳から制作まで承っています。ぜひお気軽にご相談ください。

プレイン・ランゲージの誤解を解く

JPELCのオピニオンページに新しく記事を追加しました。今回も、プレイン・ランゲージの第一人者であるジョー キンブル教授が、プレイン・ランゲージの5つの誤解について紹介しています。「プレイン・ランゲージを使うと子供っぽい文章になるのではないか」、「プレイン・ランゲージはシンプルな単語と短い文章だけを使えばよい」といった誤解を丁寧に紐解きます。

ぜひ下記よりご覧ください。

https://jpelc.org/opinion/