ESGは本当に重要なのか? 多面的な利点を理解してESGに取り組む

日本でもESGの浸透が進むと同時に、ESGへ取り組むことの多面的な利点も目に付くようになりました。ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的なリスクによるエネルギーリスクが顕著な例です。グリーンエネルギーは環境保護の視点だけではなく、地政学的リスクに弱いエネルギーへ依存しないためにも重要なことが明らかになってきました。

止まらない世界レベルのトレンド

ESGに懐疑的な人たちも存在しますが、懐疑派であっても、ESG推進の流れが世界レベルで進んでいることは否定することができません。

数字で見てみましょう。
・ゼロエミッション達成を公約している国:140か国
・去年一年に立ち上げられたESG投資ファンドの数:760

ESGを長期的な企業価値(持続可能な価値)の源であると考える投資家が増えており、グローバルエコノミーにおいては、多くの投資機関が投資決定にESGを使用しています。そのため、ESGの世界基準を満たすことが益々重要になってきています。

ESGへの取り組みの膠着状態を解決するポイント

ESGへの対応に行き詰まりを感じている現状を打破したいと考えている場合、4つのポイントに気を付けてみてください。

1.ESGに関する対話は、IRチームに任せるのではなく、Cクラス役員や取締役が行います
2.明確で端的であることが重要です。取り組みの数は5つまでにしましょう。
3.わかりやすさを重視します。進捗を測定したり、正しい行動を強化したりするための具体的な指標を決めることでわかりやすさが実現します。
4.ESGに取り組まないリスクについて理解します。ESGに向き合うことに対して、従業員に感情レベルで納得してもらいます。

また、ESGを通じて価値創造のフレームワークを作るにあたって、次の5つの利点に注目することで、スムーズに進むようになります。

1.売上を大きく成長させるためのチャンス
2.運営コストの低下
3.政府や規制当局からの干渉のリスクの低下
4.高い従業員満足度や生産性
5.持続可能性を投資要件とする投資家からの投資を獲得

結論は先に、表現はストレートに! 「持ち帰って検討します」は禁句

今回は、JPELCのオピニオンページで最も読まれている記事の一つである内田一成教授のコラムをご紹介します。日本のビジネスではよく使う「持ち帰って検討します」という表現はグローバルな場では嫌われる一言だそうです。

ぜひ下記よりご覧ください。

結論は先に、表現はストレートに「持ち帰って検討します」は禁句 – JPELC(Japan Plain English & Language Consortium:ジャパン・プレイン・イングリッシュ・アンド・ランゲージ・コンソーシアム)

グローバル企業がロシアから撤退 スピード感と透明性で難しい状況を乗り切る

グローバル企業がロシアでの事業を中止するというニュースを多く耳にするようになりました。企業の売上や利益に大きな影響を与える決定が、驚きのスピードで下されています。
企業が「外交政策」的な意思決定を行う時代の本格的な幕開けです。

行動をしないことがリスクに

ロシアでの事業を中止すれば、売上を失い、事務所や工場を閉鎖するためのコストも発生します。短期的には損失が大きなことは明らかです。それでも、何も行動を起こさない場合のリスクが大きいと判断され、事業の撤退が進んでいます。その大きな要因のひとつが消費者によるプレッシャーです。

ウクライナ情勢に関して行われた調査では、「ロシアでの事業を継続するべき」、「特に対応を取る必要はない」と考えているアメリカ人はわずか4%でした。ソーシャルメディアでは、自社の立場や意見を明らかにしない企業に対して、多くの批判が寄せられています。

企業哲学と行動を一致させる~マクドナルド社の場合~

今回のような状況では、意思決定のプロセスを開示し、良い面と悪い面の両方を伝えることが重要です。

例えば、マクドナルド社は、プレスリリースを通して事業撤退に至るまでの意思決定プロセスを公表し、自らのジレンマを明らかにしています。

また、企業哲学を意思決定のプロセスに結び付けることも大切です。掲げている哲学に見合った行動をとらないと、批判や顧客・従業員間の不満が生まれます。

マクドナルド社の場合は今回の決断を自社のコアバリュー「Doing the Right Thing(正しいことをする)」に結びつけています。

3つのポイントを押さえた意思決定をする

今回のような迅速で難しい意思決定を求められる状況で、明確なコミュニケーションを実現するためには、次の3つのステップが役立ちます。

1)ステークホルダーが何を望んでいるかを理解します。アンケートやフィードバックなど、開かれたコミュニケーションを促します。

2)行動にイノベーションを加えます。例えば今回の状況では、ロシアでの事業を中止するだけではなく、従業員や顧客が人道的な活動の一旦を担うことができる工夫をします。ブランドの影響力を高めたり、大きな信用を得るチャンスでもあります。

3)行動を共有します。ウェブサイトにとどまらず、ソーシャルメディア、イントラネット、小売店なども活用してステークホルダーとコミュニケーションをとります。