企業名のキャピタライズルールをご存知ですか?

企業のホームページやリリースなどの開示文書には、企業名や役職名が数多く登場します。日本語で書く場合は表記方法について意識することは少ないですが、英語の場合そうはいきません。

企業名や役職名の正しいキャピタライズルールをご存知ですか?例外なくすべて大文字始まり、もしくはオールキャップス(全ての文字を大文字にすること)にしていませんか?

実はネイティブが日本語から英訳した文章を読む際に違和感を感じる要素の一つに、不自然なキャピタライズがあります。とりわけ企業名や役職名については間違いが起こりやすい箇所です。

そこで、今回はキャピタライズシリーズ第1弾として文章中の企業名の正しいキャピタライズルールについてご説明します。

企業名のキャピタライズには、大きく2つのポイントがあります。

ポイント1:小文字始まりの場合は正式な表記を優先

ポイント2:原則として頭文字のみ大文字にする(オールキャップスは使用しない)

例えば弊社の正式英語名称が「a&people Corporation」の場合、頭文字を大文字にする必要はありません。この場合は、正式な表記に従い、文章中でも「a&people Corporation」とするのが正しいです。

それでは、正式名称が「A&PEOPLE CORPORATION」の場合はどうでしょうか。

原則として文章中の企業名にオールキャップスは使用しないため、この場合は「A&People Corporation」が正しい表記となります。

一方で、オールキャップスを使用しても問題ない、むしろ使用したほうが自然な場面もあります。オールキャップスについては次回詳しくご説明します。

キャピタライズの2つのポイントをおさえて、ネイティブにとって自然で読みやすい英文を実現しましょう。

プレインイングリッシュの秘訣

改めてプレインイングリッシュの基本を見直してみましょう。今回は、読み手に伝わる文章を書くためのコツを3点に絞って紹介します。

Business man’s hand pointing at POINT” word on white board
  1. 意味のない単語はドラフトの段階で削除する

文章を書くときに、なんとなく耳障りの良い言葉を使ってしまうことがあると思います。しかし、耳障りが良いだけの単語はプレインイングリッシュでは必要ありません。ドラフトを推敲する際に、削除しましょう。

例えば、英語で使われがちなのはgenerally(一般的に)、basically(基本的に)、actually(実際に)、kind of(ある意味)、really(本当に)、virtually(事実上)、totally(完全に)、essentially(本質的に)、completely(完全に)、practically(実質的に)、literally(文字通り)、just(ただ)などがあります。

よく耳にする一般的な表現で、英語として問題はありませんが、特に意味を持ちません。

ちなみに、日本語の英訳では、namely(すなわち)、regarding(~に関して)、in so far as(その限りにおいて)、that is to say(つまり)、concerning(~に関して)、moreover(さらには)といった単語を多く目にします。日本語から直訳されているのですが、意味がないと判断できる場合、翻訳しないことで、伝わりやすい高品質の英訳を実現できます。

2.冗長な部分は削除する

同じような考えやアイデアを繰り返すことは避けます。ドラフトを読み返し、繰り返しを見つけたらハイライトするとよいでしょう。統合レポートのような複数の人が参加する大きなプロジェクトの場合、全員がアクセスできるようにオンラインツールを活用すると、作業を効率化することができます。

3.自分を主語として語らない

自分を主語として語ってしまうと、文章が長くなってしまい、読み飛ばされたり、最後まで読んでもらえない可能性が高くなります。より簡潔で直接的、かつ要点を押さえた文章にするためには、主語を工夫します。

例を使って説明します。

修正前:

I want to point out a few challenges we face with the current staffing environment. They are: x, y, and z.

訳:私は、現在の人材配置状況で直面しているいくつかの課題を指摘したいと思います。それはx、y、zです。

修正後:

Our current staffing challenges include, x, y, and z.

訳:人材配置に関する現在の課題は、x、y、zです。

書き手を主語として語っている修正前の文では、単語数も多く重要な情報が最後にきてしまっています。修正後は、より少ない言葉で、ポイントを的確に伝えることができています。

英語での固有名詞の表記方法について

英語では、人や場所などの固有名詞は大文字で表記することはご存知でしょうか。

固有名詞の特性については以下が挙げられます。

・常に大文字ではじめる

・不定冠詞a/anをつけない

・複数形にならない等

~ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバーの違いについて~

日本人にとって、ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバーは、

単に犬種の一部であり、日本語での表記も至って変わらずカタカナでの表記です。

英語では、golden retriever、Labrador retrieverと表記します。

同じ犬種の一部ではあるがなぜ、キャピタライズされるのでしょうか。

■なぜ、Labrador retrieverと表記するのか

ラブラドールは、出身地名にちなんで「ラブラドール」と呼ばれるようになりました。

地名は固有名詞にあたるため、英語ではLabrador retrieverと表記します。

このように、固有名詞を英語で表記する際には、注意が必要です。

ラブラドールレトリバーのように、一見、単純な犬種だと見受けられる言葉でも 英語表記の場合には、固有名詞扱いとなるのです。

英語表記された固有名詞の特性を理解することで、ライティングの際はもちろんですが、リーディングの際にも新たな気づきや発見があるかもしれません。