世界有数の観光大国になるために

2020年は、プレイン・イングリッシュが試される年となります。
オリンピックの際の外国人観光客に備え、日本中が忙しく準備を
進めています。レストラン、大企業、ホテル、交通機関、小売店
などでは、外国人向けのサービスを提供するために努力しています。

これをきっかけにして、日本は観光大国になれるのでしょうか?

55年前、前回の東京オリンピックの際の日本は、今とはまったく
異なりました。しかし、外国人への対応を迫られていたのは同様です。
現在、高齢化社会となった日本では、投資、労働、レジャーなど
複数の分野において外国人を必要としています。

外国人を誘致するにあたり分野に関係なく重要なのが、
シンプルな言葉、プレイン・ランゲージ
(特にプレイン・イングリッシュ)となります。

「言葉選びや文の構成、デザインがクリアで、
読者が必要な情報を簡単に見つけることができ、
見つけた情報を理解し、その情報を使用できる。
それがプレイン・ランゲージを使ったコミュニケーションです」
国際プレイン・ランゲージ協会

このようなシンプルな英語は日本では今まで使用
されてきませんでした。翻訳の質は上がってきていますが、
目的とするオーディエンスに効果的に意図を伝えることのできる
質の高い翻訳は、他の観光国と比べ後れをとっています。

日本が、外国人旅行者にとって魅力的な訪問先であることは
間違いありません。重要になるのは、来日した外国人に質の高い
体験を提供できるかどうかです。その意味でも、
2020年のオリンピックは重要なイベントとなります。

オリンピックを目的に来た外国人による体験は、テレビ、
インターネット、ソーシャルメディアによって
全世界に伝わっていきます。これは、前回の東京オリンピック
開催時とはまったく異なる環境です。素晴らしい体験もそうでない
体験も一瞬で全世界に伝わるのです。

体験の質にはコミュニケーションの質が深く関わっています。
日本での体験を向上させるためには、コミュニケーションの質を
上げることが必要です。そのためには、
プレイン・イングリッシュが大切な役割を果たします。

日本での夏季オリンピックと時期を同じくして、
オーストラリアでプレイン・イングリッシュの国際標準が
立ち上げられます。日本が世界の人気旅行先トップ10に入り、
順位を上げていくためには、こうした国際標準を活用することが
役立ちます。

プレイン・イングリッシュに関するさらに詳しい情報は
こちらをご覧ください。
https://www.a-people.com/plainenglish/

プレイン・イングリッシュのメリット

▼悪いニュースを伝えるには
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悪いニュースを伝えることが難しいのは、言葉や環境が違っても同じです。
普段の生活でも、私たちは悪いニュースを伝えるのを避けてしまうため、
時に沈黙が言葉より多くを語ります。ビジネスの世界では、
情報の開示が法規制で要求されているため、
沈黙を押し通して察してもらうわけにはいきません。
悪いニュースを伝えなければいけない状況は必ず発生します。
ステークホルダーとのコミュニケーション全体に言えることですが、
悪いニュースをどのように伝えるかは、ビジネス戦略でもあるのです。
このような場面でこそ、プレイン・イングリッシュが求められています。

専門用語を使用することで、開示する情報にポジティブな印象を
与えることができるため、悪いニュースを伝える際に専門用語を
使いたくなるのは自然の流れです。完全に間違った選択ではありませんが、
正しく内容を理解するためには行間を読んで分析する必要があり、
多くの読者にとって誤解しやすくなってしまいます。
また、行間を読むことができる読者も、いらだちを感じたり、
疑念をもつことになります。

プレイン・イングリッシュを使用して、明確かつ的確に情報を
伝えることで、ステークホルダーとの信頼関係を築くことができます。
必要な情報がすべて理解しやすい形で書かれているため、行間を
読む必要がありません。ステークホルダーとの関係は、
悪いニュースを伝えるその瞬間だけではなく、
その後も続いていきます。難しい状況における事実の伝え方が、
企業の誠実さと信頼性の真価となるのです。

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◆参考・出典一覧
We translated GM’s “staffing transformation”
press release into plain English
JARGON-NOT 2018年11月26日

https://qz.com/work/1475097/gm-layoffs-general-motors-press-release-translated/?fbclid=IwAR2bpmrWiBKwHXcLJuPLqxAABQEG-b-uTySqkoC8XB59mB2BW0NpPE2nf10

言葉選びの大切さ

読み手にメッセージを伝えるためには言葉選びが非常に大切です。
ペンシルベニア大学の准教授Delphine Dahan氏は「不適切な用語を
選んだために、意味が伝わらなくなってしまうことがあります。
何かを表現するにあたり、自分にとっては一番効果的な用語でも、
他の人にはまったく意味が伝わらない場合もあるのです」
と説明しています。

同氏の発言は翻訳で使用する英語表現にも当てはまります。

美容院を例に見てみましょう。
美容師がお客様の頭を洗う際、水の温度が適切かどうかを
確認するのに、日本ではお客様に「熱くないですか」と聞きます。
この日本語を直訳して英語にすると「Is the water not hot?」
となります。この直訳は、英語話者にとっては非常に不自然に聞こえます。

たとえば米国では、
「How is the water temperature?(温度は大丈夫ですか?)」
または「Is the water too hot?(熱すぎませんか?)」
と聞きます。

選ぶ単語や表現方法が「正しい」か「間違っている」かは、
文化、世代、状況などのコンテクストにおいて一般的に使用される
表現かどうかによって決まります。

メッセージを明確に伝え、適切な使用方法を学ぶためには、
リアルな英語を使用している素材で英語を学習することが役立ちます。

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◆参考・出典一覧
https://omnia.sas.upenn.edu/story/widening-lens-language-study