Business jargonについて – その2

前回に引き続きビジネスでよく使われるbusiness jargonを解説します。

・Move the needle
成長率などの測定値に目に見える影響を与えた場合に使います。
このフレーズでのneedle(針)は速度計の針のことで、
乗り物が加速すると動くことからこの表現が使われています。

・Onboarding
この言葉は造語で(発音は最初の音節を強調)、
80年代後半から90年代初頭に新入社員向けのオリエンテーションを
意味する言葉として作られました。

現在は、何か新しい関係性を始める際に必要な
あらゆるプロセスを意味する言葉として使用されています。

例:new-client onboarding processes
(新クライアント向けオンボーディングプロセス)、
onboarding routines for new vendors
(新ベンダー向けのオンボーディングルーティーン)。

・RIF (reduction in force)
解雇や人員削減を意味する言葉は多くありますが、
RIFは非常によく使われています。それ以外の同意語には、
downsizing、 redundancy、 position elimination、
separation from the payrollなどがあります。

・Right-size
人員削減を意味する動詞として使用されます。
例:right-size a company(企業の人員削減)、
right-size a department(部署の人員削減)など

・Synergize
Synergy(シナジー)はビジネスパーソンが好んで使う言葉です。
通常、一部だけよりも全体としての方が優れているという
意味で使われます。

・Upshot
結果を意味する言葉となります。
「The upshot of the meeting was that
Marvin stepped down and Juliette took his place.
(ミーティングの結果、マーヴィンが辞任してジュリエットが
そのポジションに就任します。)」

Business jargonについて – その1

日本人が英語を使ってビジネスを行う上で苦労するのは、
英語そのものというよりもbusiness jargonと呼ばれる専門用語では
ないでしょうか。コミュニケーションの障壁にもなり得るため
欧米でもjargonの使用は避けようという動きが高まっていますが、
よく使われるjargonについて2回に分けて紹介します。

・Bandwidth
許容量を示す言葉として使用されます。働きすぎで自分の
キャパシティを超えてしまった際などに、
「I don’t have the bandwidth to take on that project.
(このプロジェクトを担当する余裕はないよ。)」と表現します。

・Best-in-class
あるカテゴリーのなかで最高のものであることを
表現するために使用される決まり文句です。

・Core competency
人物、部門、企業においてもっとも中心的あるいは重要な能力を示します。

・Deck
Power Pointのスライドを指す言葉として
使用されます。「I’ll send you the deck.(デッキを送ります。)」
と言われたら、「パワーポイントのスライドを送るから確認してください」
という意味です。

・Deliverable
報告書やソフトウェアの導入などが、納品できる状態に
なったもののことを指します。

・Leverage
ここでは影響力や力を意味しています。語源となるlever(レバー)は、
小さな力で大きな石などを動かすためなど、パワーを
増幅するために使われるツールです。

・Low-hanging fruit
簡単に達成できるゴールを意味します。木の下の方に
実っている果物は、簡単に収穫することができることが由来です。

バフェット氏の執筆時の心掛け

皆さまは投資の神様と呼ばれているウォーレン・バフェット氏を
ご存知だと思います。彼は世界最大の投資持株会社である
バークシャー・ハサウェイの筆頭株主です。
また毎年開催される同社の株主総会では彼の話を
聞くために世界中から数万人にものぼる株主が参加しています。
そのような会社のアニュアルレポートはどのようなものでしょうか。

彼は自分の会社のアニュアルレポートを書くときは、
投資家そのものというよりも、自分のお姉さんや妹に
話をするようなイメージで執筆するそうです。
もちろん、バフェット氏のお姉さんたちも知的な
方だとは思いますが、会計や金融の専門家ではありません。
プレイン・イングリッシュは理解できても、専門用語には
まごつくでしょう。

また、バフェット氏はこう述べています。
「自分が投資家として読み手の立場だったら知りたいと思う情報を
提供する。それが私の目指すところです。よい文章を書くためには
シェイクスピアである必要はありませんが、情報を与えたいと心から
思っていなくてはなりません。」

誰かを感動させたり、うならせたりするためではなく、
情報の提供ということを常に心に留めて文章を書くことが大切です。
ちなみにバフェット氏の2017年のアニュアルレポートの一部の英語の
読みやすさを計測したところ高校3年生が読んで理解できる
レベルでした。ぜひ一度読んでみてください。

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◆ 参考・出典

  1. 金融財務編 Plain English Handbook:SEC
  2. 法律編 Richard C. Wydick, Plain English for Lawyers,
      66 Cal. L. Rev. 727 (1978)