英語には三つの語源がある?

プレインイングリッシュにおいては、親しみやすく平易な英単語や日常的な英語表現を使うことが重要になります。今回はプレインイングリッシュをより深く理解するために、英語の三つの語源についてご紹介していきます。

現在の英語の語源として、「英語本来語」、「フランス語」、「ラテン語」の三つが挙げられます。英語圏は一時期フランスの支配を受けたことによって、外来語である「ラテン語」とラテン語をルーツに持つ「フランス語」の影響を受けることになりました。現在の英語の六割はフランス語、もしくはラテン語からの借用語であると言われています。
下の図では、同じ意味を持つ「英語本来語」、「フランス語系」「ラテン語系」の英単語をまとめています。

〇三つの語源の類義語群

英語本来語 フランス語系(借用語) ラテン語系(借用語)
Ask Question Interrogate
Go Depart Exit
Help Aid Assistance
Rise Mount Ascend
Gift Present Donation

これらの語源の異なる英単語には、次のような特徴がそれぞれあります。
「英語本来語」…平易で温かみがあるイメージ。
「フランス語系」…中立的で無色透明な語感を持つイメージ。
「ラテン語系」…高尚、人を寄せ付けない高尚なイメージ。


出典:
連載 第6回 なぜ英語語彙に3層構造があるのか?
(https://www.kenkyusha.co.jp/uploads/history_of_english/series/s06.html)
第18回 なぜ英語とフランス語は似ているの? 三省堂ことばのコラム
(https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/ghf18#notes)


プレインイングリッシュでは「英語本来語」がおすすめ!

〇英語語彙の三層構造

「ラテン語系」の単語は音節が多く読みにくいものが多い一方、「英語本来語」は平易で読みやすく、日常生活の中で多く使われています。プレインイングリッシュのガイドブックでも、この「英語本来語」を使うことが推奨されています。

「この英単語はあまり聞きなれないな」または「ちょっと長いな」と感じるものがあれば、外国を由来に持つ「フランス語系」や「ラテン語系」の単語であるのかもしれません。そんな時は、シンプルで聞き馴染みのある「英語本来語」に言い換えてみると読みやすさが高まるので、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

多言語翻訳の留意点

弊社では、英語以外の言語の翻訳依頼も数多くお問い合わせをいただいております。今回はその中でもご依頼の多い言語について、特有のルールや翻訳時の留意点についてご紹介します。

中国語

中国語には「簡体字」と「繁体字」の2種類があり、地域によって使われる字体が異なります。「簡体字」は従来の漢字を簡略化した字体体系となり、北京や上海など中国大陸の方に向けた文章を作成するときに用いられます。「繁体字」は系統的な簡略化を経ていない、筆画が多い漢字の字体体系です。台湾、香港、マカオの方に向けた文章を作成するときには、繁体字を用いるのが一般的です。

タイ語

タイ語は改行の位置が変わることで、その言葉の意味自体が変わり誤解を招く可能性があります。例えば「単語」の途中で改行を入れてしまうと単語として成り立たなくなってしまいます。また、ベトナム語についても改行によって意味が変わることがありますので同様に注意が必要です。

スペイン語

スペイン語を使用する人口は、英語や中国語に続き、世界で3、4番手を争う人数といわれています。しかし、中国語同様に使用地域を確認することでよりスムーズなコミュニケーションが可能になります。スペイン語には「エスパニョール(スペイン本土向け)」と「カスティリャーノ(中南米(ラテンアメリカ)向け)」の2種があり、基本的にはどちらを利用しても相互間での理解はおおよそ可能です。ただし、同じ意味でも使用する単語の違いや動詞の活用の違いなど、細かな違いが多く見られるため、使用地域によって使い分けることで誤解のないスムーズな対話が可能となります。

今回は一部言語を抜粋してご紹介しましたが、上記のように、各言語によって翻訳時の注意点は異なります。翻訳をご依頼の際には事前に対象地域をご指定いただくとスムーズな手配が可能です。もちろん、対象地域をご存知でなくてもご提案が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

スタイルガイドの活用

スタイルガイドとは?

弊社ではメールマガジンを通して、表記についてこれまでもご紹介してきました。(2023年6月号:「漢字表記とひらがな表記」、2023年9月号:「英文の表やグラフ内での記号表記について」など)

これらのような文章の表記や言葉、タイポグラフィを規定したものをスタイルガイドといいます。英語では一般的にシカゴマニュアルが用いられています。しかし、日本語ではシカゴマニュアルのような一般的なスタイルガイドが存在しないため、『記者ハンドブック』(共同通信社)などが参考にされることが多いです。

それらのルールがすべて必ず正しいということではなく、その文書の用途や対象者、好みによって表記が異なってくるため、独自のスタイルガイドを作成することで、文書内の統一が図れます。

そこで、スタイルを決めておくと便利な項目と、その表記例をいくつかご紹介いたします。

  • マニュアルの手順は句点の有無や動詞、命令形、名詞など表記が揺れやすいです。

~をクリックする(句点の有無)
~をクリックしてください(句点の有無)
~をクリック

  • UIの表記は、オリジナルの表記も記載するか、日本語のみにするか、統一をすることでユーザーが識別しやすくなります。

[ヘルプ]
[ヘルプ(Help)]

  • 参考文献は専門分野によって推奨される表記はありますが、ページ数や著者名など一つルールを決めておくと便利です。

13-15
pp. 13-15
Smith, M. T.(ラストネーム, ファーストネームイニシャル. ミドルネームイニシャル.)
Smith, Mary.(ラストネーム, ファーストネーム.)
Smith, Mary T.(ラストネーム, ファーストネーム ミドルネームイニシャル.)

  • 単位の表記は日本語表記と単位表記がありますが、文章の内容によって使い分けることもポイントの一つです。

ミリメートル、mm
km/h、km/時、キロメートル/時、キロメートル毎時
度、℃

  • 社名は自社、他社によって正式名称にするか、略称を使用するかなど、日本語と英語も含めて複数通りの表現があります。

株式会社エイアンドピープル(株式会社を常につける)
エイアンドピープル(2回目以降株式会社はつけない)
We/The company/ A&People(英語の場合)

ブランドガイドライン

ブランドガイドラインもスタイルガイドの一つと言えます。ブランドガイドラインとは、ブランドの一貫したイメージを保つための独自のルールブックです。

「そのブランドらしさ(ブランドアイデンティティー)」を可視化して、ユーザーやクライアントへの理解と認知を深める効果があります。また社内で資料作成のルールが決まっていることで、作業の効率化も図れます。

こちらも例をご紹介します。

  • ロゴ

ブランドの顔ともいえるロゴは、既定の比率や使用する背景色のパターンを決めることで「○○といえば!」と印象に残りやすくなります。

  • ブランド名、製品名

特に翻訳で表記揺れが起こりやすい部分です。原文どおりの表記/言語ごとの表記/ローマ表記/カタカナ表記など、ルールを決めておく必要があります。

  • 配色

決まったカラーパレットを用意することで、誰が資料を作成しても一定の統一感のある資料になります。

  • フォント、サイズ

配色と同様の効果があります。翻訳する際、英語はどうしても文字数が多くなってしまうため、日本語と英語で最低ラインのフォントサイズを決めておくことをおすすめします。

スタイルガイドやブランドガイドライン作成の参考にしてみてはいかがでしょうか。
また翻訳の際のスタイルでお困りの場合は、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。