東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始 ~英文開示に関するFAQ~

昨年12月からエイアンドピープルでは、英文開示義務化におけるあらゆるポイントについてメルマガを通じてお伝えしてまいりました。

弊社にも多くの東証プライム上場企業の英文開示担当者様から、日英同時開示に関するお問い合わせをいただいております。
今回はよくあるご質問についてお伝えいたします。

よくあるご質問1位:スケジュール

「他の会社はどのようなスケジュールで進めているのか?」「短納期で開示を進めるためのポイントは?」など、スケジュールに関するご質問が圧倒的に多いです。
こちらについては、過去のメルマガ記事をぜひご覧ください。

・翻訳スピードアップのポイント

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始 ~翻訳スピードアップのポイント~ – A&People メールマガジン

・進行管理のポイント

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始~効率的な進行管理のポイント~ – A&People メールマガジン

よくあるご質問2位:翻訳会社の選定基準

数ある翻訳会社から大切なIR資料の翻訳を依頼するには、何をどのように比較すべきか、単純に価格で決めてよいのか、確認すべきポイントは事前におさえておくべきでしょう。
品質、価格、スピード、専門性などあらゆる要素が含まれます。
基本的な項目は以下の記事をぜひご覧ください。

・質の高い英文開示実現のための翻訳会社選定のコツ

東証プライム上場企業の英文開示義務化、いよいよ2025年4月から開始 – A&People メールマガジン

その上で、貴社の優先順位は何か。また、品質重視と言っても、原文に忠実な翻訳を希望するのか、それとも読み手にとってわかりやすい英文を希望するのか、そうした点も社内で議論した上で、翻訳会社を選定するとよいかと思います。

よくあるご質問3位:品質管理

「いざ翻訳を注文したところ、仕上がりが思っていたものと違った・・・。」「社内チェックにかなり時間がかかってしまい、結局スケジュールどおりに進めなかった。」そんなお話もよく耳にします。
英文開示の品質は、海外投資家とのコミュニケーションや企業価値に直結します。適切な品質管理プロセスを構築することが不可欠です。

品質管理の手法として、いくつか効果的なポイントがあります。
・トライアル翻訳などで翻訳会社の実力の事前確認
・翻訳の方向性のすり合わせ
・用語集、スタイルガイドの作成と定期的な更新
・海外投資家からのフィードバックの収集
・翻訳会社へのフィードバック
・内部チェック体制の構築

スピード面で英文同時開示が達成できても、品質向上は一朝一夕には達成できません。
しかし、上記のようなポイントをおさえ英文開示の質を向上させることで、海外投資家との信頼関係構築に大きく貢献することができます。
皆さまの英文開示実践に、本情報が少しでも役立ちますと幸いです。

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始
~翻訳スピードアップのポイント~

前回「質の高い英文開示実現のための翻訳会社選定のコツ」の1つのポイントとして「効率的な進行管理」についてご紹介しました。今回は、より効率的に翻訳を行うための「翻訳スピードアップのポイント」についてご説明します。

4月からの英文同時開示義務化の開始に向けて、より効率的に翻訳を行うことが求められています。そこで、翻訳会社へ依頼する部分と社内で対応する部分の分け方や、どういった資料が効率よく翻訳可能か、という点についてご紹介します。

数字はブランクのまま依頼する

決算資料に記載される数字については、数値の確定までに時間がかかり、翻訳依頼のタイミングでは間に合わない、または翻訳依頼後の差し替えが発生するといったケースがあります。また、文章の英訳とは違い、数字単体で記載している箇所については、社内で英訳ファイルへの反映が行いやすいため、数字はブランクの状態で依頼いただくことをお勧めしています。具体的には、決算短信のサマリーや、説明会資料の表などです。もちろん、文章中に記載してある数字については、前後の脈略から翻訳が必要なため、責任をもって翻訳会社が対応するべきですが、数字のみの記載箇所は社内で対応するということも検討してみてはいかがでしょうか。

資料を章ごとに分割する

章ごとに和文の内容が固まるタイミングが異なることが多いため、日本語が完成した箇所から翻訳を開始することも、翻訳を効率よく進めるポイントです。しかし、依頼回数を増やしすぎて、ファイルの差し替えが何度も発生すると、用語統一の面などで懸念点も増えるため、基本的には2回に分けてのご依頼をお勧めしています。まずは、翻訳したい決算資料の中で、和文が比較的早く完成する箇所と、そうでない箇所を仕分けし、その内容と分量を翻訳会社と共有し、事前スケジュールを組んでみてはいかがでしょうか。

シンプルなフォーマットを活用する

決算説明会資料(PPT)では、別のExcelで作った表やグラフを画像としてPPTに埋め込みをしている資料が多くみられます。この場合、翻訳は元データのExcelで行い、その後、英訳をPPTに反映する作業が必要になり、全体作業時間が多くかかってしまいます。そこで、納期の短縮や作業の集約という点からも、PPT上で修正可能な表やグラフの使用を推奨いたします。また、一度フォーマットを作ってしまえば、毎期の資料作成にも役立てることができます。

いかがでしたでしょうか。
より効率よく翻訳を行い、英文開示のスピードアップを図るため、このような取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始
~効率的な進行管理のポイント~

前回「質の高い英文開示実現のための翻訳会社選定のコツ」として、以下の5つのポイントをご紹介しました。

  • 金融・IR分野の専門知識
  • IR翻訳の実績
  • 品質管理体制
  • 明確なコミュニケーション
  • 効率的な進行管理

今回はこれらの中から「効率的な進行管理」の部分に焦点をあて、同時開示に向けたスケジュール管理や翻訳の進め方について、ポイントをご紹介します。

翻訳会社への入稿タイミングはいつがベスト?

開示日直前に翻訳を開始して、スピードを重視するあまり、翻訳の品質については後回しになってしまっていませんか。
それではせっかく同時開示しても、海外の投資家に興味をもってもらえなかった、なんてことにもなりかねません。
スピードを重視しつつも、品質を保つためにはどの程度の日数が必要なのか、翻訳会社と分量や希望納期のすり合わせを行い、前もって計画することが大切です。
弊社では、遅くとも入稿予定時期の約1か月前までにスケジュール調整を行うことをお勧めしております。

品質重視?スピード重視?

企業によって重視するポイントはそれぞれです。

品質を重視する場合、ある程度の時間を翻訳に確保する必要が出てきますので、早い段階での翻訳開始が必要となります。数字をブランクにした状態での入稿や、章ごとなどで分割し、日本語が完成した部分から翻訳を開始する等の工夫を施すのがお勧めです。

スピードを重視する場合に気をつけたい点は事前のスケジュール設定と設定したスケジュールの順守です。予めスケジュールをきちんと決めておくことで可能な限りの効率化を図ります。そのほかには、社内で対応する部分と翻訳会社へ依頼する部分とを分けて、翻訳が必要な部分のボリュームを減らし、スピードアップを図るというのも方法の1つです。

決め手は和文作成のタイミング?

「日英同時開示」と聞くと翻訳の期間を短縮することばかりに目を向けてしまう方が多いのですが、和文作成のスケジュールについてはいかがでしょうか。
翻訳期間を短縮する工夫ももちろん必要ですが、スピードを重視しすぎると、翻訳した文章の品質面がおろそかになる可能性もあります。
和文制作と英文制作の部署が異なる場合など、難しい部分も多いかとは思いますが、ぜひこの機会に和文制作タイミングや翻訳開始タイミング、全体のスケジュールについて、社内で情報共有の機会を設けてみてはいかがでしょうか。

Designed by Freepik