アニュアルレポートにとってのユーザーエクスペリエンスを理解する

すべてをコントロールしようとしない

ユーザーエクスペリエンス(UX)への注目が高まり、グローバル企業もあらゆる領域のUXに注力するようになってきています。IRコミュニケーションも例外ではありません。

UXには企業側がコントロールできる部分と、コントロールできない部分があります。ユーザーの反応自体をコントロールすることはできませんが、望ましい反応を得ることを目指して製品やシステム、サービスをコントロールすることはできます。

アニュアルレポート設計のポイント

UXの視点はアニュアルレポートにも応用することができます。特に、次の考え方を取り入れることをお勧めします。

  1. 直感的にレポート内の移動ができるようにする
  2. 読者が求めている情報へアクセスできるような構成にする
  3. 重要な情報に適切なタイミングでアクセスできるようにする(例:別のセクションにジャンプするためのプロンプト、詳細なコンテンツへのハイパーリンク)

優れたUXを実現させる7つの要素

フォーチュン500社UXアドバイザーのピーター・モービル氏は、優れたUXを実現するために取り入れるべき要素を7つ提案しています。読みやすいアニュアルレポートを作るために活用できるので、参考にしてみてください。

  1. 利用者の役に立つ
  2. 使いやすい。特に第一世代の製品において、ユーザーが製品を使って効果的かつ効率的に目的を達成できる
  3. 情報を見つけやすい
  4. 信頼できる。提供される情報が正確で、情報源(経営陣)が信頼でき、時間が経っても内容に一貫性がある
  5. 魅力的である。ブランディング、イメージ、アイデンティティ、美学、レイアウトなどがデザインで伝えられている。魅力的な製品はより記憶に残りやすく、肯定的な口コミが期待できる
  6. アクセシビリティ。難聴、視覚障碍、運動障碍、学習困難など、何らかの障碍を持つ方たちの使いやすさを考慮することで、誰にとっても使いやすいコンテンツになる
  7. 価値を提供している。IR担当者が企業活動を説明する際に使う「価値創造」という言葉は、投資家にとっての価値を生みだすという点においても大切

3月2日(木)Nikkei Asia IRセミナーに弊社顧問の堀田祐介が登壇します!

Nikkei Asia IRセミナー

海外投資家が来日!いま求められる海外IRとは

【本セミナーについて】

米国で日本株の調査を行うKaname Capital槙野 尚氏、数多くの投資先と対話を行ってきたエミネントグループ代表取締役社長CEO小野塚 惠美氏が登壇。アクティブ投資家や機関投資家の着目点を探ります。サステナブルファイナンス・非財務を含めた情報開示などをキーワードに、2023年度の株主総会や統合報告書制作に向け、効果的なグローバル情報発信を行うために不可欠な要素を浮き彫りにします。

弊社からは明日から実行できる海外IR対策として、海外投資家とのコミュニケーションに不可欠なプレイン・イングリッシュについて顧問である堀田 祐介が紹介いたします。2023年ISO規格化予定で注目を集める「プレイン・ランゲージ」。今回はその中でもプレイン・イングリッシュを書くためのヒントを、ぜひ持ち帰っていただけたらと存じます。 今回講演自体は限られた時間となりますが、講演後に講師と直接話ができるネットワーキングの場もございます。皆様のお申し込みをお待ちしております!

※本イベントはリアル会場でのみの開催となります。

【セミナー概要】

開催日時:2023/3/2(木) 17時~18時30分

会場:    スペースNIO (東京都 千代田区大手町 1-3-7 日本経済新聞社 2F)

*本イベントはリアル会場のみで開催します。

受講料:無料

主催:    日本経済新聞社グローバルイベントユニット

定員:50名 
※申し込み多数の場合は抽選のうえ、事前にご登録いただいたメールアドレス宛にご連絡いたします。当落の発表は開催前日までに電子メールのご連絡をもって代えさせていただきます。

言語:日本語

お申し込み、詳細はこちら

テクノロジーで株主投票を民主化する

個人投資家も委任状投票が簡単にできる未来

昨年、資産運用会社大手のブラックロック社は、機関投資家を対象にテクノロジーを活用して委任状投票をより簡単に行えるプラットフォーム「Voting Choice」を導入しました。そして今年、英国で投資信託を行う個人投資家の一部にもVoting Choiceが提供されるようになりました。

年金基金が票を独占する時代の終わり

これまで委任状投票を利用してコーポレート・ガバナンスに積極的に関与してきたのは年金基金が中心でした。しかし、個人投資家を含むより多くの投資家がより簡単に、より効率的にコーポレート・ガバナンスに関与できるような仕組み作りに大手投資機関が取り組み始めています。Voting Choiceもその流れの一環です。

年金基金以外の株主がVoting Choiceを使って委任状投票を行うようになることで、今までより多様な考え方をもつ株主が投票するようになります。それにより、企業の経営陣は重要なガバナンス問題に対する幅広い株主の意見を知ることになります。

ブラックロック社CEO ラリー・フィンク氏は、浸透には時間がかかるとしながらも、Voting Choiceが株主民主主義の土台を強化し、ガバナンスに革命を起こすと予測しています。

不明瞭な未来にプレインランゲージで備える

これまで、IRの対象は主にファンドマネージャーや機関投資家を中心とする、金融プロフェッショナルでした。しかし、この一連の動きで、より多様な投資家層へIRの対象が変化していくことを意味します。この変化はゆっくりと、スピードを変えながら進んでいくことが予測されます。

個人投資家が好むトピックスや投票事項の傾向を予測し、具体的に対応することも一つのIR戦略です。その際、株主コミュニケーションにおいて専門用語を使わず、プレインランゲージを使うことは、オーディエンスの変化のスピードにかかわらず有効で堅実な戦略であると言えます。