はじめてのICO、暗号通貨、ブロックチェーン

▼ICOとは?
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ここ数年よく耳にする暗号通貨(デジタル通貨)は、どのように
投資対象になるのでしょうか?通常の企業は、新規公開株(IPO)
を通じて、一般の投資家に株式を購入してもらいます。
デジタル通貨ではイニシャル・コイン・オファリング(ICO)
を通じて、投資家にデジタルコイン(トークン)を購入して
もらいます。

通常、企業または組織が、何か(通常は事業開発に使用する金銭)
の対価としてデジタルコインを提供します。
ICOとセキュリティ・トークン・オファリング(STO)は
同じ意味で使用されます。

▼ユーティリティトークンとセキュリティトークン
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ICOで発行されるトークンには、ユーティリティトークンと
セキュリティトークンがあります。昨年はユーティリティトークン
によるICOが減少し、セキュリティトークンが増加しました。

ユーティリティトークンとは、ネットワークへのアクセスなど、
何かしらの実利を提供する仮想通貨を指します。たとえば、
リサイクル会社がユーティリティトークンでICOを行った場合、
トークンの所有者は専用リサイクル施設を使用するなどの
特典を受けることができます。

セキュリティトークンでは、上場企業の株式と同様に、
企業が提供するデジタル資産を所有する形式となります。

▼ブロックチェーンの役割
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ICOの話題と一緒に必ず耳にするのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンはトークンの売買を記録するためのテクノロジです。
簡単に説明すると、トークンを所有した歴代の個人の名前を
記録するエクセルシートのようなものです。誰かがトークンを
販売または購入すると、このエクセルシートは自動的に更新され、
最新の状態に保たれます。

ICOは、透明性が高く規制の少ない方法で、金銭を集める
ことを目的に生まれました。そのため、このように情報を中央化せずに
記録することができるブロックチェーンは暗号通貨にとって
魅力的なテクノロジなのです。

ただし、法規制が整備されていない環境で仮想通貨と引き換えに
金銭が集められています。そのため、良心的ではない投資家を
集めることにもつながり、ICOや暗号通貨には怪しい印象が
つきまとっています。

何かと話題に上がるICOですが、2018年前半の時点で、
追跡されたICOの86%において、ICOが実施されたときよりも
価格が下がっており、40%はその価値を大きく下げています。
詐欺まがいのICOに投資しないよう、しっかりと投資判断を
行う必要があります。

▼デジタル通貨のマーケット規模は?
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記録に残っている最初のICOは2013年に行われました。
その後、ICOを通じて数百億ドルが集められたと見積
もられていますが、規制されていない業界であるため、
正確に数値化することは難しくなっています。

2018年の前半、ICOを通じて集められたのは150億である
といわれていますが、正確な数字は不明なままです。

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◆参考・出典一覧

『Defining Cryptocurrencies, Blockchain, ICOs, STOs, and Tokens』
IR Update(NIRI)

ESG投資における注目の2019年トレンド

▼ESGがさらに投資戦略に組み込まれる1年に
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ここ数年で大きな変化を遂げているESG投資の分野で、
今年特に注目すべきトレンドを紹介します。

▼財務情報に統合された形で提供されるESG戦略
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これまで、資産運用会社は自分たちの投資価値に合わない株式は、
ポートフォリオから排除してきました。しかし、現在では、
ESGを従来の財務情報をサポートする情報として活用するように
なってきており、特に長期投資家に価値を提供する投資として、
多くの注目を集めています。

これは、ESG関連のデータが多数入手可能になり、研究が進んだ
ことも一因です。ESG関連の情報が投資プロセスにとって重要
であることが証明されてきたのです。また、米国サステナビリティ
会計基準審議会(SASB)などのフレームワークが整備されてきている
ことで、投資家にとって重要なESG活動を企業が開示しやすい環境が
生まれてきています。

さらに、特にヨーロッパにおいて、投資プロセスにESG情報を
含めることが義務化されるなど、規制当局も動きだしています。

▼気候変動に関するソリューションは、リスク削減から適応へ
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これまでは、企業がどのように気候変動のリスクを削減するかが
特に注目されていました(二酸化炭素の削減など)。
しかし、異常気象が増え、気候変動が経済活動に与える影響が広く
認識されるようになってきた現在では、気候変動にどのように対応
していくのかに関する情報開示も求められています。

▼そのほかの注目事項
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・従来、ESGに関するデータを入手できる第三者機関はほとんど
存在せず、投資家は一つの情報源からESGデータを入手していました。
しかし、ESGがより注目されている現在、複数の情報源から情報を
入手することができるようになっています。

・ESGが投資指標としてさらに注目をされるにあたり、従来の財務情報
と同じように成果を測定できるシステムが求められるように
なっています。また、エネルギー強度やESG全体のプロファイルなど
を含めた質の高いESG報告書に対する要求も高まっています。

・ESGに対応するためには、能力のある人材を確保することが
必要不可欠です。また、ESG関連の情報を統合するために、
IR関連の人材にトレーニングを提供し、データ、分析レポートの
インフラストラクチャに投資することも求められています。

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◆参考・出典一覧
2)『Five trends changing the ESG investing landscape in 2019』
IR Magazine 1月25日
https://www.irmagazine.com/buy-side/five-trends-changing-esg-investing-landscape-2019

機関投資家、今まで以上にESG関連の株主提案を支持

▼個人投資家と機関投資家の違いも浮き彫りに
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環境や社会問題に関連する株主提案への支持が5年前と
比べ10%増加(19%から29%)していることがブロードリッジ社と
PwC社ガバナンスインサイトセンターによる
調査(米国4,090社を対象)で明らかになりました。

また、この調査では機関投資家と個人投資家の投票傾向の
違いも浮き彫りになりました。2018年、機関投資家と
個人投資家の間での違いが目立った調査結果を紹介します。

・社会・環境に関する提案に賛成した機関投資家は29%、
対して個人投資家はわずか16%
・政治献金に関する提案に賛成した機関投資家は29%、
対して個人投資家は21%
・プロキシーアクセスに関する提案に賛成した機関投資家は35%、
対して個人投資家は13%
・所有する株式の投票権を行使する機関投資家は91%、
対して個人投資家は28%のみ
・プロキシーアクセスに関する株主提案の数は、
2015年の81件から、2018年には24件に減少
(これはプロキシーアクセスを 採用している企業が
増加したことが主な理由。S&P 500社では65%が採用)

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◆参考・出典一覧
『Social and environmental support continues to
grow among institutional investors』
IR Magazine 2018 年10月4日
https://www.irmagazine.com/esg/social-and-environmental-support-continues-grow-among-institutional-investors