メルマガ担当者による2021年の振り返り

コロナがもたらしたIRへの変化

2021年は、ニューノーマルという言葉が現実味を帯びた1年でした。新型コロナウイルスのパンデミックによる変化が一時的なものではなく、今後定着してくことを実感した方が多いのではないでしょうか。

6月号では、特に今後も変化が加速して続いていくと考えられる注目トレンドの下記3点を紹介しました。

-ポートフォリオマネージャーの存在感の増大
-デジタル化のさらなる促進
-ダイバーシティ&インクルージョンの浸透

特にデジタル化の促進については、日々の業務だけではなく、ビジネスのプロセスを根本的に変えていく変化となる可能性を秘めています。

ダイバーシティ&インクルージョンというコンセプトや言葉を日本でも耳にするようになり、関連した方針をホームページに掲載する大企業も増えてきています。今後、この考え方が時間をかけてサプライチェーン全体に及んでいくと考えられます。

ポートフォリオマネージャーの存在感については、米国で起きている変化ですが、海外企業のIR活動に携わる際に目にすることが多くなった変化でしょう。

AIがIR翻訳を変える

2021年の記事を書くにあたって特に印象に残っているのが10月号「AIを活用して投資をする時代へ」です。AIが進化を続け、投資やIRの世界にも大きな影響を与えるようになっています。

IR資料を英語に翻訳することが多い日本企業にとって影響の大きいトレンドです。直訳とプレイン・イングリッシュのどちらを選ぶべきか、そして人間による翻訳と機械翻訳のどちらを使うべきかという議論をする際に、大きな影響をもつ情報です。

自然言語処理(NLP)は、人間の耳が聞き逃したり、誤解してしまうような情報も収集することができるシステムです。コンテンツがどのように表現されているか、つまり言葉遣いや単語数、構文の複雑さなども情報として処理されることが特徴です。

「曖昧さ」や「冗長性」は悪いニュースの象徴?

S&Pグローバルマーケットインテリジェントがとても興味深い調査結果を発表しています。企業の経営チームは、悪いニュースを伝えるときの方が、より複雑な構文でより多くの単語を使うのです。S&P 500社の場合、業績発表でネガティブなニュースを開示するときの方が、1文あたりに使われる単語数や3音節以上の単語数が平均よりも多いことがわかっています。

日本企業がグローバルに活躍するにあたり、直訳は意図しないリスクや悪影響を生んでしまいます。日本語では曖昧な表現が一般的なことから、直訳された英語は文が長く構文が複雑です。これを説得力や透明性に欠ける望ましくない文であるとNLPが判断してしまうのです。

この問題は、直訳をせずプレイン・イングリッシュを活用して翻訳することで解決できます。プレイン・イングリッシュでは、直接的で簡潔な言葉を使い、不要な複雑さや曖昧さは使いません。そのため、NLPが台頭することで、プレイン・イングリッシュが活用される流れが生まれる可能性があります。

プレイン・イングリッシュが活用されるからといって、機械翻訳が役に立たないわけではありません。両方のツールを活用して、意図が伝わる効果的なコミュニケーションを実現させていきましょう。

また、日本語も同様に、今後幅広い投資家を対象とした場合、今まで通りの曖昧な表現が許されるのかという点は議論が必要です。忙しい投資家が情報を速く、誤解なく理解できる工夫を日本語資料に対しても行っていくことが望ましいでしょう。

デジタイゼーションが変えるビジネス 新時代の価値創出

新型コロナウイルスのパンデミックによりビジネスプロセスのデジタル化が加速しています。デジタイゼーションを成功させるためには、企業はプロセスを変えるだけでなく、考え方を変えることが求められています。

エコシステム全体を考慮する視点

従来の「バリュークリエーション(価値創造)」では、自社のみが生み出す価値について語られることが一般的でした。しかしデジタイゼーションを実現するためには、外部パートナーのプラットフォームやノウハウを活用する必要があります。そのため、自社の利益を追い求めるだけでなく、自社を取り巻くエコシステム全体の利益を考えることが求められています。

1社だけで作り出す価値を過度に重視するのではなく、外部のリソースを集結させて価値を生み出すという考え方です。

消費するのではなく価値を提供する

この新しいトレンドの中で外部とのパートナーシップを確立するためには、消費するリソース以上の価値をパートナー企業に提供することにあります。搾取してしまうと、パートナー企業は離れていき、エコシステムが衰弱していきます。パートナー企業から受ける恩恵以上の価値を提供することが、自社のエコシステムの繁栄につながるのです。

パートナー企業の価値創出をサポートする

従来の物づくりの焦点は製品でした。その上で、製品レベルで利益を生み出すために、コストよりも高い売価を設定することで利益を得ていました。そこから発展し、製品を通じて生み出す価値が重視されるようになりました。デジタイゼーションが進むに伴い、「どのように価値を生み出すのか」からさらに発展し、「エコシステムの一員であるパートナー企業が価値を生み出すためのサポート」を提供して価値を創出するという考え方が主流になってきています。

ストックウェザー株式会社様が運営を行う「IRコミュニティ」にてエイアンドピープル執筆の記事を掲載いただきました。

海外IRを始めるならIR英語から – 三島のどかのプレイン・イングリッシュ

ライター紹介:三島 のどか
https://ir-community.com/writer/writer-nodoka-mishima/

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