▼ 求められる能動的な情報開示
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持続可能な投資や責任ある投資は、この10年で大きく発展しました。投資家、株主、政府機関、格付け会社などが、
ESG(環境、社会、ガバナンス)に関する企業の情報の開示を求めるようになりました。
また、ESGに関する情報は競争戦略の一部になっています。
大手運用会社ニューバーガー・バーマンでは、ESGに関する問い合わせは2015年では全体の5%だったものが、昨年では50%近くまで増えたとしています。
ESGは「企業に持続可能性があるかどうか」を判断する以上の意味を持ち始めています。
モーニングスター格付が同じで、ESGファンドとESGではないファンドが存在する場合、多くの投資家がESGファンドを選ぶと言われています。
投資家は、ESGに関する意識が高く情報を開示している企業の方が、投資において安全かつリスクが低いと考えるようになってきています。
▼ ESG格付け会社の台頭
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このような状況に伴い、ESG格付け会社も台頭してきています。
ESG格付け会社では、企業の持続可能性パフォーマンスを独自のリサーチを基に格付けしており、
企業、マーケット、学会などが、企業の持続可能性を評価するにあたり活用しています。
ESG格付け会社の数が増える中、IROはどの格付け会社に注目し、どのように発信されるデータを追跡するべきでしょうか。
専門家は、IROが自社の大口投資家にESGデータをどの格付け会社から取得しているのかを確認したり、
IRやガバナンスチームにどのような質問が寄せられるかを注視したりすることで、注目すべき点が見えてくると指摘します。
MSCIやSustainalyticsなどの有力なESG格付け会社では、自社で格付けした会社に対し、無料でレポートを公開しています。
第一歩として、このレポートを入手し、掲載されている情報に間違いがないかを確認することができます。
アップデートされていない古い情報が掲載されている可能性もあります。
レポートを参考に自社のESGの中でも特に弱い部分について社内で話し合い、対策を考えることも可能です。
必要な対策は、的確な情報を開示するというような、すぐに実施できる場合も多くあります。
ただし、格付け会社は自社が発表した情報に誤りがあると判断した場合に修正を行いますが、時間がかかることが多くあります。
そのため、情報が間違っていたことを証明して、投資家に対して自ら情報発信することが大切です。
▼ ストーリーは自分で発信する
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格付け会社は開示されている情報に基づきESG格付けを行っています。
情報が開示されていない場合、開示していないという事実がマイナスになってしまいます。
情報開示をすることが企業にとって一番の得策であると専門家は考えます。
どのようなESG問題を重要であると考えているのか、その問題によってどのような影響を受ける可能性があるのか、
またそれを回避あるいは緩和させるためにどのような取り組みを導入しているのか、などの情報が求められています。
投資家は、自分が求めている情報を企業サイトから見つけることができない場合、他の情報源から情報を得ようとします。
自社のストーリーは自社から発信しないと、推測に基づく情報から投資判断が行われてしまい、リスクが高くなってしまいます。
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◆ 参考・出典一覧
『ESG Rating Agencies Are Here to Stay』
IR Update 2020年冬号