株主招集通知におけるESG開示、大幅に進化

専門家によると過去3年の間に、株主総会招集通知における
ESG開示は大きく進化してきました。
企業はESG関連のさまざまな課題に直面しており、
その重要度もさまざまです。
しかし、全体として株主総会招集通知におけるESGセクションは
毎年拡大しており、充実してきています。
株主総会招集通知におけるESG開示の進化の過程としては、
次のプロセスをたどっています。
1年目:「ESG課題に注目しています」
2年目:「これが私たちのESGゴールです」
3年目:「ゴールに対する進捗はこのようになります」

また、取締役会のリスク監視、役員採用、株主エンゲージメント、
取締役会評価、報酬設定などの取締役会プロセスの開示においても
進化が見られます。企業はこれらのプロセスや、その仕組み、
結果を開示するようになっているほか、開示にあたってビジュアルを
有効活用するようになってきています。
このようなことを行っている企業はほんの数年前までわずか数社でしたが、
今では実施している企業は数十社となっています。
そのほか顕著な傾向として、CEOからのあいさつだけに留まらず
独立役員または独立取締役会長からのあいさつを記載する企業が
増えてきています。さらには、事業戦略と役員報酬の関係の詳細を
開示したり、取締役を身近に感じてもらうために
取締役の写真や個人的な情報を掲載したりするなど、
ESG開示の進化は進んでいます。

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◆ 参考・出典一覧
IR Magazine 2019年10月8日
『Report highlights evolving ESG disclosure in proxy statements』
https://www.irmagazine.com/reporting/report-highlights-evolving-esg-disclosure-proxy-statements

持続可能性開示、経営陣のアカウンタビリティがカギ

▼ 8割の企業が持続可能性レポートを発表
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セリーズ(CERES: 環境に責任を持つ経済のための連合)が
まとめた2018年の報告書によると、持続可能性関連の開示が今まで
以上に一般的になってきています。2018年に持続可能性報告書を
発表した企業はS&P 500社の86%以上に及びます。
また、最も一般的に活用されている持続可能性開示
フレームワークであるGRI(グローバル・レポーティング・
イニシアティブ) に基づいてデータを開示したグローバル
大企業は70%となりました。

▼ 事業戦略との関係をクリアにした開示が必要
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報告書では、企業が持続可能性と事業戦略がどのように
結びついているかに関する説明が十分ではないことが
指摘されています。

投資家を含むステークホルダーは持続可能性に関する
パフォーマンス向上に対して経営陣がどのように関わっている
のかを理解したがっています。また、アナリストは、投資分析や
投資決定にあたり、最も重要な持続可能性関連の課題とは、
取締役による監督とアカウンタビリティであるとしています。

▼ 意思決定に役立つ情報
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投資家は意思決定に役立つ情報を持続可能性レポートに
掲載することを求めています。特に重視されているのが、
持続可能性関連の重大課題に対する役員レベルの
アカウンタビリティです。

役員が持続可能性を監督する仕組みを開示することで、
持続可能性関連のパフォーマンスを実現するにあたり、企業が
どの程度真剣に取り組んでいるかを判断することができます。
また、持続可能性に関する課題を戦略、資産配分、リスクに
どのように反映しているかに関する情報の開示も求められています。

ただし、持続可能性に関する重大トピックスを重視することが
最も効率が良いものの、戦略に影響を与える新しい課題を
考慮することも重要です。

▼ 外部からの監査で信頼性を高める
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2018年の時点で、持続可能性レポートに外部からの監査を
導入している企業は、S&P 500社のうちわずか36%でした。
外部からの監査は、厳格で信頼できる情報を開示していることを
示し、投資家は安心して投資決定に情報を使用することができます。

また、第三者機関が作成した基準を開示の枠組みとして
使用することで、投資家が情報を比較することが
可能になります。比較可能であることは投資家の意思決定において
非常に重要です。

▼ 求められるガバナンス開示
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GRIスタンダードでは、企業が持続可能性を管理する方法、
誰が管理するのか、関連する課題を緩和する方針、手続き、
計画は何であるかを開示することを求めています。
また、各トピックスに対する経営陣のアプローチを
開示することを求めています。経営陣のアプローチを開示することで、
投資家などのステークホルダーは、企業が課題に対してどのように
アプローチするのか、効果的なマネージメントを実現するために
最低限の法的コンプライアンス以上の取り組みを行っているのかを
知ることができます。

投資家は透明性、アカウンタビリティ、パフォーマンスの
源となるガバナンスに注目しています。持続可能性開示が
効果的かつ意思決定に役立つものにするために、
企業の持続可能性戦略のみならず、関連リスクや
アカウンタビリティをどのようにガバナンスシステムに
統合しているのかを開示することが求められています。

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◆ 参考・出典一覧
IR Magazine 2019年10月3日
『Why sustainability reporting needs governance perspective』

FRC、更にステップアップした気候変動関連の開示を要求

▼ TCFDを活用した開示
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英国の財務報告評議会(FRC)が発表した新しい報告書によると、
気候変動関連の開示をさらに進めていく必要性が指摘されています。
この報告書では、2017年に発表された気候変動関連財務情報
開示タスクフォース (TCFD)を枠組みとして活用することを
推奨しています。TCFDでは、ガバナンス、戦略、リスク管理、
指標・目標の4つの分野における開示を推奨しています。

▼ 投資家が求める透明性
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投資家は、気候変動関連の課題についてより多くの情報と
透明性を求めています。社会や投資家の要求が変化するのに伴い、
規制も変化してきました。このような変化に対応するために、
企業は透明性を向上させることが求められています。

▼ 複数の部門での協力
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企業として、気候変動が事業に与える長期的な影響を
理解するにあたり、IRはさまざまな部門と協力して、
ステークホルダーに伝える物語のシナリオを構築する
必要があります。そのためには、気候変動の程度に応じた異なる
複数のシナリオにおける未来を徹底的に評価し、重要ドライバーを
特定する必要があります。このような分析は、戦略、財務、リスク、
報告、総務、持続可能性、IRや経営陣や取締役を含む多くの分野で
協力して行う必要があります。

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◆ 参考・出典一覧
IR Magazine 2019年10月23日
『Companies urged to up game on climate disclosure』