Business jargonについて – その2

前回に引き続きビジネスでよく使われるbusiness jargonを解説します。

・Move the needle
成長率などの測定値に目に見える影響を与えた場合に使います。
このフレーズでのneedle(針)は速度計の針のことで、
乗り物が加速すると動くことからこの表現が使われています。

・Onboarding
この言葉は造語で(発音は最初の音節を強調)、
80年代後半から90年代初頭に新入社員向けのオリエンテーションを
意味する言葉として作られました。

現在は、何か新しい関係性を始める際に必要な
あらゆるプロセスを意味する言葉として使用されています。

例:new-client onboarding processes
(新クライアント向けオンボーディングプロセス)、
onboarding routines for new vendors
(新ベンダー向けのオンボーディングルーティーン)。

・RIF (reduction in force)
解雇や人員削減を意味する言葉は多くありますが、
RIFは非常によく使われています。それ以外の同意語には、
downsizing、 redundancy、 position elimination、
separation from the payrollなどがあります。

・Right-size
人員削減を意味する動詞として使用されます。
例:right-size a company(企業の人員削減)、
right-size a department(部署の人員削減)など

・Synergize
Synergy(シナジー)はビジネスパーソンが好んで使う言葉です。
通常、一部だけよりも全体としての方が優れているという
意味で使われます。

・Upshot
結果を意味する言葉となります。
「The upshot of the meeting was that
Marvin stepped down and Juliette took his place.
(ミーティングの結果、マーヴィンが辞任してジュリエットが
そのポジションに就任します。)」

機関投資家は企業の長期的視野に立った投資を支持 国際社会が向き合う課題への立場の表明が評価される

EY(アーンスト・アンド・ヤング)社が
CEO Imperative Study 2019を行い、CEO、大手機関投資家、
独立取締役を対象に調査を実施しました。
その結果の一部を紹介します。

-機関投資家の60%が、長期的な事業の成長に向けた企業の投資を評価。
短期的な業績に悪影響があったとしてもサポートすると回答

-グローバル企業CEOの67%が、国際社会が直面している
政治的に敏感な課題に関して、自社の考え方を公表すると回答

-57%のCEO、63%の取締役、54%の投資家は、
大企業CEOが国際的な課題に関して積極的に関わっていく方が
好ましいと回答

-57%のCEO、49%の取締役、42%の投資家が、
国際的な課題への取り組みはリスクよりもチャンスであると
考えていると回答

-過去2年間に、国際的な課題に対するCEOの考え方や
アクションを投資決定の際に頻繁に考慮した投資家は55%。
また、83%の投資家が国際的な課題に対する企業の考え方や
アクションは今後5年間ますます重要な要素になると回答

-国および企業のサイバー・セキュリティ、
技術の進化による失業、収入の不平等の3点が企業の成長や
グローバル経済に対する最大の脅威のトップ3

-58%の取締役、54%の機関投資家、51%のCEOが、
世界が直面している課題を解決するために企業が行動する必要が
あると強く感じていると回答

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◆ 参考・出典一覧
IR Magazine 2019年7月22日
『Investors support investment that improves long-term business prospects』
https://www.irmagazine.com/buy-side/investors-support-investment-improves-long-term-business-prospects

より開かれた情報開示が実現 激動の20年、NIRIと市場の変化を追う

1990年から2010年までの20年間、マーケットの変化とともに、
NIRI(全米IR協会)も大きく変化しました。
その歴史の一部を紹介します。

▼ ガバナンス
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1990年は投資家アクティビズムが脚光を浴び始めた年でした。
すでに、ガバナンス関連285件、社会的課題関連290件の
株主提案が行われていました。しかし、株主アクティビズムと
ガバナンスの関連は認識されておらず、多くのIR担当者は
プロキシー関連の活動に関与していませんでした。

・1998年、NIRIの会長はガバナンスが機能しているかを
テストした上で経営陣に報告する必要性を指摘。

・2000年、IROの多くがガバナンス関連の活動を年間を通して実施。

・2007年、アクティビスト、投資専門家、メディアとのトラブルに、
IROを通じて早めに対応する必要性が提案される。このような
トラブルが今後発生する大きな問題の警告サインであることが
認識されはじめた時期。

▼ 情報開示に向けた環境作り
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NIRIは90年代に、情報開示についても働きかけています。
1994年にNIRIが実施した調査では、多くの企業が株主からの
訴訟を恐れるあまり、情報開示は法務部が中心に担当しており、
開示は最小限に留めることが一般的でした。NIRIは、情報を
開示することが公正な株主評価への唯一の道であると考え、
より優れた開示を実現するための環境を整えると同時に、
書面化されたクリアなIR方針を作成するよう企業に働きかけていきました。

企業が投資家向けに将来に関する情報を開示するためには、
投資家からの訴訟を恐れずに済む環境が必要でした。
1995年、Private Securities Litigation Reform Actが議会を
通過しました。これにより、無駄に訴訟を恐れる必要がなくなり、
投資家コミュニティにとって必要な情報を開示しやすくなりました。
相手をけむに巻くIRから、コミュニケーションをとるIRへと変わる
ターニングポイントでした。

1998年には、当時のSEC会長によって、株式市場をすべての
市場参加者にとって平等な場とするための複数年プロジェクトの
開始が宣言されました。NIRIはこの動きに協力すると同時に、
アナリストと投資家の開かれた会話を実現する規制作りに
向けてSECのサポートも実施しました。その結果、2000年、
ついにRegulation Fair Disclosure(Reg FD)が施行されました。

その後、NIRIは規制の解釈やプロセスに関する情報の普及、
IROが各々の企業でこの規制を導入するサポートに焦点を当てて
活動しました。

▼ 不況時の情報開示に改善の兆し
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2002年9月には、世界は不況に見舞われ、米国の投資家は
市場価値にして $7.3兆ドルを失いました。景気の先行きが
不透明であった2003年、多くの企業が将来の予測に関する
情報の開示を中止しました。コカ・コーラなどの大手でも、
業績予想の発表を中止しました。公正な市場を維持するにあたり、
重要な情報の開示が滞ってしまうことは大きな痛手となります。
NIRIは「IR in Tough Times」と題した資料を作成し、
チャプターミーティングやウェビナーで共有することで、
投資家に対して役に立つ情報を透明性を持って
提供することの重要性を引き続き主張しました。

この活動の成果は、2008年のリーマンショックの際に現れました。
当時、多くの金融機関が機能不全に追い込まれ、
18か月に渡る不況となりGDPは5.1%下落、S&P 500は
企業価値の50%を失いました。しかし、今回は、多くの企業が
オープンな情報開示を続けました。2009年5月にNIRIメンバーに
対して行った調査では、60%の企業が業績予想を
行っていました(2008年は64%、2007年は51%)。

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◆ 参考・出典一覧
IR Update Summer 2019
『1990 to 2010: “The More Things Change…”』