読んでもらえるオンラインライティング
複雑な内容でもわかりやすい言葉で伝える

ウェブページを読む際に、私たちは無意識に流し読みをしています。そのため、わかりやすいウェブページが好まれ、内容が複雑すぎると感じると、読者は途中で読むのをやめてしまいます。そして、似たような情報が掲載されている、もっと簡単に読むことができるサイトを探す傾向があります。

これはIR活動に従事されている皆さまも心にとめておく必要があります。オフィシャルサイトが読みにくいと、皆さまが発信した情報を読んでもらえず、ステークホルダーが二次情報に流れてしまい機会損失を招くこともあります。

読みやすいウェブコンテンツは、単純に内容がシンプルなわけではありません。
複雑な内容でも、わかりやすい言葉で、明確かつシンプルに表現することで、読みやすいコンテンツが完成されます。

優れたコンテンツは読みやすい

私たちがウェブページを読む際には、掲載されている情報の20%から28%しか読んでいないことがわかっています。忙しい時や急いでいる時はさらに読み飛ばします。また、ウェブでの読むスピードは、紙に比べて25%遅くなることもわかっています。

そのため、例えばイギリス政府では、ウェブコンテンツを紙に比べて50%文字数を削減するように勧めています。プレインランゲージの原則を活用すれば、コンテンツの質を高めながら、文の量を減らすことができます。

また、流し読みの際に、視線がFの形にそってページ上を動くこともわかっています(Fの法則)。そのため、最も重要な情報を最初に掲載する、つまり見出し、小見出し、箇条書きを前面にだすことで、重要な情報を読んでもらうことができます。これも、プレインランゲージの原則を活用することで、実現できます。

能力が高い人ほど読みやすいコンテンツを好む

トピックが複雑なほど、プレインランゲージが好まれる傾向にあります。また、能力が高い人ほどプレインランゲージを好むという結果もでています。能力が高い人や専門知識を持つ人々は、読むべきものが多いため、複雑な文書を理解することができても、読みたくないと考えるようです。

出典:

https://www.gov.uk/guidance/content-design/writing-for-gov-uk

https://www.fda.gov/animal-veterinary/animal-health-literacy/plain-english-please

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始 ~英文開示に関するFAQ~

昨年12月からエイアンドピープルでは、英文開示義務化におけるあらゆるポイントについてメルマガを通じてお伝えしてまいりました。

弊社にも多くの東証プライム上場企業の英文開示担当者様から、日英同時開示に関するお問い合わせをいただいております。
今回はよくあるご質問についてお伝えいたします。

よくあるご質問1位:スケジュール

「他の会社はどのようなスケジュールで進めているのか?」「短納期で開示を進めるためのポイントは?」など、スケジュールに関するご質問が圧倒的に多いです。
こちらについては、過去のメルマガ記事をぜひご覧ください。

・翻訳スピードアップのポイント

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始 ~翻訳スピードアップのポイント~ – A&People メールマガジン

・進行管理のポイント

東証プライム上場企業の英文開示義務化 いよいよ4月から開始~効率的な進行管理のポイント~ – A&People メールマガジン

よくあるご質問2位:翻訳会社の選定基準

数ある翻訳会社から大切なIR資料の翻訳を依頼するには、何をどのように比較すべきか、単純に価格で決めてよいのか、確認すべきポイントは事前におさえておくべきでしょう。
品質、価格、スピード、専門性などあらゆる要素が含まれます。
基本的な項目は以下の記事をぜひご覧ください。

・質の高い英文開示実現のための翻訳会社選定のコツ

東証プライム上場企業の英文開示義務化、いよいよ2025年4月から開始 – A&People メールマガジン

その上で、貴社の優先順位は何か。また、品質重視と言っても、原文に忠実な翻訳を希望するのか、それとも読み手にとってわかりやすい英文を希望するのか、そうした点も社内で議論した上で、翻訳会社を選定するとよいかと思います。

よくあるご質問3位:品質管理

「いざ翻訳を注文したところ、仕上がりが思っていたものと違った・・・。」「社内チェックにかなり時間がかかってしまい、結局スケジュールどおりに進めなかった。」そんなお話もよく耳にします。
英文開示の品質は、海外投資家とのコミュニケーションや企業価値に直結します。適切な品質管理プロセスを構築することが不可欠です。

品質管理の手法として、いくつか効果的なポイントがあります。
・トライアル翻訳などで翻訳会社の実力の事前確認
・翻訳の方向性のすり合わせ
・用語集、スタイルガイドの作成と定期的な更新
・海外投資家からのフィードバックの収集
・翻訳会社へのフィードバック
・内部チェック体制の構築

スピード面で英文同時開示が達成できても、品質向上は一朝一夕には達成できません。
しかし、上記のようなポイントをおさえ英文開示の質を向上させることで、海外投資家との信頼関係構築に大きく貢献することができます。
皆さまの英文開示実践に、本情報が少しでも役立ちますと幸いです。

より多くの読み手にメッセージを届ける
プレインランゲージとインクルーシブランゲージ

近年耳にすることが多いプレインランゲージとインクルーシブランゲージ。このふたつは、実は切っても切れない関係にあります。

多くの人が簡単に理解できる、プレインイングリッシュ

読者が簡単に要点を理解できるプレインイングリッシュ*は、読み書きが苦手な人でも比較的理解しやすい英語です。また、要点が理解しやすいということは、翻訳しやすい英語であり、正確に翻訳されることで英語が母国語ではない人も情報にアクセスできる可能性が高まります。そのため、移民が多い英語圏の国では、プレインイングリッシュは多様性に考慮した言葉として扱われています。

*プレインイングリッシュとは、英語のプレインランゲージです。

さまざまなバックグランドを持つ人に敬意を示す、インクルーシブランゲージ

インクルーシブランゲージは、多様なバックグランドをもつ人たちに敬意を払う表現です。ジェンダーだけではなく、文化、人種、年齢、障害などの多様性に敬意を示しています。

MissとMrs.が旧時代的なのはわかる、でもMx.とは?

インクルーシブランゲージでは、社会の新しい「あたりまえ」が言葉に反映されます。

ひと昔前は、未婚の女性はMiss、既婚の女性はMrs.と表現され、女性のみが既婚か未婚かを表記する必要がありました。現在では、既婚か未婚かを問わず女性であることを意味するMs.が一般的になり、広く浸透しています。

新しく浸透しつつある表現がMx.(ミックス)です。これは、男か女を表現したくない人や、男とも女とも自認しないジェンダーニュートラルな人がMr.やMs.の代わりに選ぶことができる表現です。オーストラリアやイギリスでは政府も認めている表現となります。

姓と名のどちらがファーストネームかは文化によって違う

英語でよく耳にするfirst name(ファーストネーム:名)や last name (ラストネーム:姓)ですが、オーストラリア政府では政府関連の文書でこの表現を段階的に排除しています。

世界中の多くの文化で、姓と名の両方が使われています。しかし、姓と名のどちらを最初に名乗るかは文化によって異なります。そこで、ファースト(最初)やラスト(最後)といった順番を表す言葉の代わりにgiven name(与えられた名) と family name(家の名)が使われています。

自分事であると感じてもらえるメッセージを生み出す

今回はほんのわずかな例しか紹介できませんでしたが、インクルーシブランゲージを使うことの利点の一つに、メッセージが「自分に向けられている」と読者が感じることにあります。

プレインイングリッシュとインクルーシブランゲージを使うことで、より多くの読み手に「自分事」としてメッセージを届けることができるようになります。

https://www.stylemanual.gov.au/accessible-and-inclusive-content/inclusive-language
https://www.digital.nsw.gov.au/delivery/digital-service-toolkit/resources/writing-content/content-101/writing-for-inclusivity