バーチャルコミュニケーションでコロナパンデミックを乗り切る

▼ 素早い対応が危機をチャンスに変える
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2020年3月、コロナパンデミックが全世界を揺るがしました。世界中の上場企業は、さまざまな変化を求められ、
これまで対面を中心として行ってきた株主総会もバーチャルミーティングに置き換える必要に迫られました。

今回、ネットワークスペシャリストの米国Ciena社は、コロナへの対応が能動的かつ革新的であったことが評価されています。
以下の箇条書きはCiena社の3月のタイムラインです。特筆すべきはそのスピード感で、このすべてが3月前半までに完了しています。

・3月初めに第1四半期の業績を発表した後、米国各地でトレードショーに参加、ロードショーを行う予定 → コロナパンデミックで予定変更

・投資家コミュニティに対して引き続きエンゲージメントする意思があることを示す

・移動制限を含む、さまざまな規制 → 業界で最も重要なトレードショーへの参加をいち早くキャンセル

・即座に代替案を議論 → 展示会で使用予定だったデモンストレーションをバーチャル化し、セルサイドの投資家と技術部門のトップとのバーチャル会議を実現。
また、バーチャルイベントのコンテンツとフォーマットをユーザーにとってより使いやすくするためのミーティングを実施。

▼ 質問をコロナ一色に終わらせない方法
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Ciena社では、ロードショーを従来の電話会議ツールや動画会議ツールを使ってオンラインで実施しました。

状況が刻々と変化するため、コロナ関連のメッセージを用意し、状況が変わる度に、メッセージの変更が必要かを役員と顧問が話し合いました。
また、通常よりもセルサイドのクライアントとの対話を重視しました。

期待値を管理するために、トピックスや議論の流れを丁寧に管理しました。
特に、コロナ関連のトピックスだけでカンファレンスを終わらせないように、以前に発表したコロナ関連のメッセージに変化がない場合は、
カンファレンスの冒頭で「コロナに関する質問と事業への影響に対する質問もあると思います。
しかし、状況が刻々と変化していることから、●月●日に公開した財務予測以上の詳しい情報を提供することができません」などとコメントをしました。
コロナに関する対話の重要性を理解していて、状況がアップデートされた場合には新たに情報提供する意思があることを理解してもらえます。

▼ バーチャル株主総会の立ち上げ
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2019年の時点でバーチャルあるいは対面とバーチャルのハイブリッド形式での株主総会を行っていた米国企業はわずか300社でした。
Ciena社は2013年からバーチャル株主総会を採用していたため、完全にバーチャル化した点以外は、大きな変更を加える必要はありませんでした。
しかし、大口の株主に連絡を取り、変更を行った理由やアクセス方法に変化がないことを説明し、質問も受け付けました。

3月13日にはSEC(米国証券取引委員会)も企業がなるべく早く適切にバーチャル総会を実施できるように、ガイドラインを発表しサポートに乗り出しました。

▼ リモートがより浸透した社会へ
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コロナにより増加した在宅勤務や在宅学習は、これをきっかけに今後も増え続けると予測されています。
企業は、今回のコロナ下の対応で、出張があまり必要なかったことに気づくかもしれません。
また、生産性を評価し調整をした後に在宅勤務の方が適していると判断するかもしれません。
さまざまなプロセスが再評価されることで、既に少しずつ増加傾向にあったリモートトレンドが大きく浸透し一般化する可能性があります。

企業にとっても、自社の施設の所在地や出張費について再考し、利益を増やすチャンスとなります。
しかし、ITや関連するインフラ整備に今まで以上の予算を割り当てる必要性も出てくるかもしれません。
コロナ前のやり方の方が理にかなっていると判断する企業もあるかもしれませんが、既存のトレンドを考えると少数派となるでしょう。

今回のような危機的状況は、業績が悪い際の対応と同様に、企業のコミットメント、経営陣の実力と自信、一貫した哲学を投資家に示す重要なチャンスでもあります。
対応によっては企業の評判が上がるのと同様に、危機的な状況で能動的に取り組んだIROも、投資家やIROコミュニティでその評価を上げることになります。
IROとして学ぶことが多い状況ですが、プレゼンテーション資料、ウェブサイトなどの既存の資料をアップデートした上で、
状況に特化したコミュニケーションテクニックを加えることで、エンゲージメントを高めることができます。

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◆ 参考・出典一覧
『Maintaining Virtual Investor Communications During an Unprecedented Crisis』
IR Update 2020年春号

コロナパンデミック下でのIRプログラム

▼ 継続したコミュニケーションの重要性
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3月の終わりに、NIRI(全米IR協会)のメンバーを対象にしたウェビナー「Maintaining an Effective IR Program through the Covid-19 Pandemic(コロナパンデミック下で効果的なIRプログラムを維持する)」
が開催され、誰も経験のしたことのない状況下でのIRの在り方が議論されました。

今年の初頭まで、IROが提供する情報は、自社がこの1年でどのように成長していくかが中心でした。しかし、コロナの影響で話題は大きく変わりました。
今では、流動性(現金化のしやすさ)、コベナンツ(社債発行や融資に関連する特約事項違反)が発生する可能性、
回転信用枠からの資金引き出し、製品の出荷停止、店舗の閉鎖などについて説明を求められています。

一部の企業では、投資家との対話を止めてしまっていますが、このような状況下であるからこそ、投資家とのコミュニケーションが平常時以上に重要になってきます。
発信するメッセージは、必ずしもポジティブである必要はありませんが、公正で適切な情報であることが重要です。
特に中小企業に関しては、対話する姿勢を示すことが何よりも大切になります。

企業側とて、すべての答えを持ち合わせているわけではありません。
投資家が何を知りたくて説明してほしいと考えているのか、何が投資家の意思決定の助けになるのかなどを学び、開示プロセスに反映します。
投資家に情報を提供するだけではなく、耳を傾けることも重要となります。

▼ 潜在株主へリーチする
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既存の株主はもちろんですが、株を購入するタイミングを見計らっている潜在株主に向けたコミュニケーションも大切です。
今までの当たり前が当たり前でなくなるような状況に私たちは置かれています。
過去に株価が適切ではないと感じていた投資家が、適正価格で購入できるチャンスであると考える可能性があります。
特に、今後株主ベースが変化すると考えている場合は、潜在株主とのエンゲージメントが必要不可欠となります。

▼ 投資家が知りたがるポイント
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専門家は投資家が求めている重要なポイントとして、次の5つを挙げています。
1)(コロナパンデミック下の)現在の事業環境により、どのような影響を受けているか
2)自社のビジネスにおいて特に厳しい部分はどこか
3)いま社会が置かれている状況に対してどのようなソリューションを提供できるのか
4)ビジネスモデル上で利益をもたらしているポイントはどこか?ビジネスモデルを変革させることができるのか?
5)キャッシュフロ―、コベナンツ、流動性についての詳しい説明

▼ 基本を忘れない
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危機の時こそ、IRの基本をしっかりと実行することが大切であると専門家は指摘します。
在宅勤務中も、アクティビストがいなくなったり、ESGが必要なくなったりすることはありません。
自社の弱点の洗い出し、アクティビストへの備え、ESGプログラムを強化するなど基本的な分野を忘れないことが重要となります。

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◆ 参考・出典一覧
『How to Run an IR Program Through the COVID-19 Pandemic』
IR Update 2020年春号

2分でわかる!プレイン・イングリッシュとは

新しい生活様式として在宅勤務も一般的になってきました。
オンライン会議を行う機会も増えていらっしゃることと思います。

対面で行われる会議では参加者の表情や態度から場の雰囲気を読み取ることが可能ですが、
オンライン会議では臨場感が足りず、こうした変化に気づきにくいこともあります。

そうしたなか、情報を誤解なく伝えるためのコミュニケーションが以前にもまして大切になってきています。

プレイン・イングリッシュは、情報を速く、効率的に理解しやすく伝えるためのコミュニケーション術です。

プレイン・イングリッシュの基礎を知っていただくため動画を作成いたしましたので、ぜひご覧ください。
今後もシリーズ化いたしますのでお楽しみに。